『ナイトミュージアム2』(ネタバレあり)

 『真夏の夜の夢』を見た後、新宿ピカデリーで『そんな彼なら捨てちゃえば』を見ようとしたら、なんとまたもや次の回のチケットが売り切れていた…仕方ないので『そんな彼なら捨てちゃえば』のレイトショーチケットを買って、それまで『ナイトミュージアム2』を見てつなぐことにした。


 …で、『ナイトミュージアム2』なのだが、お話自体は前回と同じよくできた子供向け映画って感じなのだが、話がえらく反ネオリベ的…というかなんというかになっているのにびっくりした。主人公のラリー(ベン・スティラー)は発明家として起業に成功して博物館の夜警をやめていまや大金持ちなのだが、仕事があまり面白くなく、息子ともゆっくり過ごせずにイライラしている。息子のニックは科学好きなので、「高いゲーム機を買ってもらうより、前の職場で遊んでもらうほうが楽しかった」とかなんとか泣かせることを言う。最後は結局ラリーが会社を売却し、博物館に匿名で大量にお金を寄付してお蔵入りになりそうになっていた展示品を救い、自分は夜警に戻るという結末になるのだが、これってなんか子供向け映画にしてはずいぶん過激なラストであるような気が…なんか子供向けの映画とか伝記とかって、発明とか起業とかの努力を称える傾向があるような気がするのだが、この映画のメッセージは「商品開発なんかをして金を転がすのは、一見冒険的に見えるが実は猪口才でくだらん仕事である。過去のものを研究・保存して人々に知識を伝える活動のほうが真に冒険的であり、かつ有意義である」ってことだと思うので、これはなかなか現在の金融不況を考えるとタイムリーなメッセージだと思う。作っている連中の顔ぶれを見ると、子供向けのつもりで実は世相を考えて作ったのかも…と思わなくもない。

 ちなみに、みんな大好きアメリア・イアハートの役をエイミー・アダムズがやっているのだが、最初アメリアが強烈な勘違い女役で出てくるのでなんでだ?と思った…ものの、たぶんこれはスクリューボールの要素を持ち込むための工夫なんだろうと思う(製作陣は絶対『赤ちゃん教育』を見ているに違いない)。紙と木だけの飛行機でスミソニアン博物館を飛び回る場面は、飛行機好きは結構必見では…と思う。それからキューピッドの役で出てくるなんかちょっとウザい連中の顔と声がどうも見覚えがある…と思ったら、ジョナス・ブラザーズだった。

 美術館好きのツッコミ所としては、最初の人形の梱包方法にちょっと疑問があるのと(私は梱包の方法は実習でちゃんと習ってないんでよくわからないんだけど、普通は一体一体包んでから箱詰めでは…?)、写真である「タイムズ・スクエアのキス」はともかく、「アメリカン・ゴシック」や「ナイトホークス」のオリジナルはスミソニアン博物館はたしか持ってないことかな…


 以下は、『ナイトミュージアム2』と『そんな彼なら捨てちゃえば』の合間の時間にピカデリーで撮った写真。

 
 巨大化したハチ公。今の時期、「ピカ」とか書いてある立て看板はどうかと…。


 「ハリー・ポッターと謎のプリン」。ちなみにハリー、ロン、ハーマイオニー全三種類の宣伝幕があったが、全部「ハリー・ポッターと謎のプリン」になっていた。宣伝幕を作る人、文字の配置をもっと考えよう… 


 どう見ても車椅子用お手洗いを案内しているとしか思えないハリー・ポッター。しかも、後ろを見てみたらなんとお手洗いじゃなくてエレヴェータだった!紛らわしい。

 …全体的に、ピカデリーのハリー・ポッター担当の人はもうちょっと宣伝のディテールを考え直したほうがいいんじゃないかと思う。