場面場面は悪くないのだが…アーコラ座こけら落とし、ウィリアム・ターナーの伝記戯曲『画家』(The Painter)

 ダルストンに移転したアーコラ座のこけら落とし公演、『画家』(The Painter)を見てきた。

 これはイギリスでおそらく最も人気のある画家であろうウィリアム・ターナーの伝記芝居で、ターナー役はトビー・ジョーンズ。戯曲はレベッカ・レンキュヴィツ(発音自信なし)。ターナーと二人の女性、隣の寡婦セーラとモデルで娼婦のジェニーの関係を中心にターナーの暮らしぶりを描いた作品である。

 で、場面場面は良いところもたくさんあるし、トビー・ジョーンズの演技はいいと思うのだが、全体的に何を言いたいのかよくわからなくてあまり面白くなかった。短いエピソード的な場面がたくさん出てくるのだがそれが相互にどうつながっているのかはそんなにはっきりしておらず、ターナーがどういう絵を描くどういう芸術家だったのかとかいうのがあまりよくわからない。もともと戯曲がちょっと断片的すぎるのと、あと演出が非常に地味で穏やか(穏やかすぎ?)なせいもあると思うのだが…ターナーは人気のある画家だし、役者は悪くないし、もっとうまくやれば映画化決定な題材であっただろうに残念である。