三菱一号美術館「バーン=ジョーンズ展〜装飾と象徴」〜いい展覧会だったが解説1箇所間違ってた

 三菱一号美術館で「バーン=ジョーンズ展〜装飾と象徴」を見てきた。この間行った時バーミンガム美術館になかったバーン=ジョーンズの作品はたいていここに送られており、その他にもサウサンプトン美術館などから大作が貸し出されていて、絵画、タペストリー、書籍などいろいろカバーして非常に充実した個展になっている。

 アーツ・アンド・クラフツ運動関係者の服飾への興味を反映しているのか、着るものの描写などがかなり凝っていて(もちろん正確に着るものの質感を描く力があるということなのだが)、森ガール=ラフェエル前派説を唱えている私としては非常に興味深かった。とくに運命の車輪の絵に出てくる結び目の服とかは非常に独特で女神と作業着の中間というか…ああいう結び目とか実際にモデルに着てもらわないと描けないのではと思うのだが、あれはモデルの女どもの好みも若干関わっているのだろうか。 
 
 あと描かれている男どもが揃いも揃ってやせ形の優男ばかりで、まあルネサンスふうの筋肉イケメンを極力避けてラファエロ以前の中世絵画の騎士を19世紀風に理想化するとああなるのだろうが、男と女が服装やふるまいだけで区別されるような感じが非常に絵画におけるジェンダーパフォーマンスとでもいうようなものを考えさせられて印象的だった。顔かたちはほとんど女性と変わりのないようなほっそりした優男がドラゴンと戦ったりする、っていうのはつまり生まれ持った肉体の特徴ではなく着こなしや振る舞いで男性性が示されるってことだよね…芸術表現ではあまりマッチョが好かれない日本でラファエル前派が受けるっていうのもなんとなくわかる気がする。
 
 あと、いくつかの絵(とくにいばら姫連作のあとで描かれたほう)はかなりジャポニスム風味だったと思うのだが、ああいう植物のデフォルメされた描き方とかは1885年にナイツブリッジにできた日本村博覧会と関係あるのだろうか。

 全体的にバーン=ジョーンズの主要なモチーフの変遷などをじっくり見ることができてとても充実した展覧会だったと思うのだが、ピグマリオンのコーナーに関する英語のパンフレットでバーナード・ショーのことを"English playwright"と書いてあったのはいただけなかった。ショーはIrishだよ!ブリティッシュカウンシルの後援があるらしいのだが誰かチェックの時気付かなかったんか…