センスは感じるが、全く乗れなかった〜『タイニー・ファニチャー』

 レナ・ダナムの初期作『タイニー・ファニチャー』を見てきた。

 大学を卒業したが仕事もなく、ニューヨークの実家に帰ってきたオーラ(レナ・ダナム)が主人公である。母のシリ(ローリー・シモンズ)はちっちゃな家具(タイニー・ファニチャー)を使った写真作品を作っている著名なアーティスト、妹のネイディーン(グレイス・ダナム)は超優秀で、オーラにはあまり居場所がない。彼氏と別れたばかりのオーラはYouTubeのジェドやバイト先のレストランの料理人キースなどにモーションをかけてみるが…

 実は私はレナ・ダナムの面白さが昔からあまりわからないのだが、この作品も全体的にオフビートな感じでセンスは感じるものの、あんまり面白くなかった。たぶん、ジム・ジャームッシュの初期作をミドルクラスにしたみたいなあの独特の感じが苦手なんだと思う。こういう女性のモラトリアムみたいなのを辛辣にバカにするんじゃなく、諷刺とユーモアと共感をないまぜにした感じで撮ったような作品が必要とされているのはわかる。おそらく私がハイパー活動的な人間なので、なんかオーラみたいな人のテンポがちょっとムカつくっていうのがあるのだと思う。なお、女性同士の会話がすごく多くてベクデル・テストはパスする。