オールフィメールアマチュア劇団による『ディランとキャサリン』…じゃなかった『ピラマスとシスビ』~『女優たちのための冬の夜の夢』

 『女優たちのための冬の夜の夢』を見てきた。キャストメンバーはTeamQueenのほうである。

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 オールフィメールで『夏の夜の夢』を上演するため、女優たちが森で合宿していると、どうやらパック役を演じる夢子に不思議な力が働いて、森の中で『夏の夜の夢』の夢物語が…みたいな展開である。こういう『夏の夜の夢』のバックステージもので妖精の力が働いて…というのは『ハリウッドでシェイクスピアを』とかもあり、たぶんそんなに珍しくはないし、中身はけっこうまっとうな『夏の夜の夢』だ。

 ただ、このプロダクションで良かったのは、職人たちのアマチュア劇団もオールフィメール(つまり、アテネの女職人たちがアマチュア劇団を結成する)という設定になっていることだ。台詞の女言葉がちょっと不自然に思えるところとかはあり、そのへんは改善の余地があるかもしれない。ただ、上演する『ピラマスとシスビ』がなんかもう『ディランとキャサリン』にしたほうがいいんじゃないかと思うような、吹き替え版のアメリカのテレビドラマの大げさなパロディになっていて、ここは大変笑った。あの職人たちは、若い頃夢中になったアメリカの青春ドラマのイメージで素人芝居をやったからああなったのかもしれないと思うと、本気で頑張ってやりたいことをやったのに大失敗でちょっとかわいそうだな…とも思えるし、一方でまあ笑うしかないところもあるので、なかなかよい設定だ。