一度、まともな『ペルシア人』を見てみたい~シアターコモンズ『悲劇の誕生』

 シアターコモンズ19でマキシム・キュルヴェルス『悲劇の誕生』を見てきた。

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 ジュリアン・ジェフロワが一人芝居でギリシア悲劇、とくに現存する最古の悲劇であるアイスキュロスペルシア人』について話すというものである。途中で牛乳をこぼす祭儀の真似があったり、台詞以外にもちょっとしたパフォーマンスがある。フランス語の上演で、ふつうこういう場合は字幕がつくのだが、これは平野暁人による同時通訳がつく。

 

 去年アメリカで見た『イリアス』とか、かなり前に静岡で見たオリヴィエ・ピィ若き俳優への手紙』なんかを思い出してわかったのだが、どうも私はこういうひとりで古典の話をするみたいな芝居がわりと好きみたいで、けっこう楽しめた。ただ、後で聞いた話によると、リハーサル時間が少なく、2日間の上演で台詞が違っていてちょっと抜かしたところなどもあったそうだ。これは抜かした?ところなのかもしれないが、『ペルシア人』が実際のサラミスの海戦をもとに書かれた芝居で、歴史的・政治的コンテクストがわりと複雑だということをもうちょっと丁寧に説明したほうがいいのではないかと思った。

 

 あと、これは完全に私の問題なのだが、私が見たことある『ペルシア人』よりこの作品の語りから想像する『ペルシア人』のほうがなんだか面白そうに思えるのがちょっときついというのはあった。私は『ペルシア人』を一度だけ見たことがあるのだが、これは私の母校の学生による古典ギリシア語上演で、演出がかなりひどくて全然面白くなかったのである。一度でいいのでまともな『ペルシア人』を見てみたいと思った。