私はこういうドグマ95みたいな芝居は見たくない~『たかが世界の終わり』(配信)

 第7世代実験室の配信舞台『たかが世界の終わり』を見た。ジャン=リュック・ラガルスの戯曲で、グザヴィエ・ドランが映画化もしている作品である。
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 ライヴで上演する様子を手持ちでひたすら長回しするカメラで撮るという配信方法なのだが、正直、開始15分でけっこううんざりした。まず、手持ちカメラだと手ぶれがすごくてたまにけっこう気持ち悪いし、彩の国さいたま芸術劇場に入って楽屋…というか役者が待機しているところとかを映すあたりからして「いかにもリアル」を描こうとする様子が鼻につく。完全に好みの問題だが、この「いかにもリアル」みたいな表現方法は私は大嫌いで、芝居を見たいのになんでこんなドグマ95みたいなものを見せられなければならないんだ…と思ってしまった(私はドグマ95的なリアリティ観が大嫌いである)。そもそも私は「1作品ワンテイク」 みたいなものにそんなに価値を置いていないし、特に舞台で役者が動いている中にカメラが入って…みたいな役者の動きの制限につながる撮り方は全然、支持しない。

 全体的にインディーズ映画みたいなのだが、こういう演劇だか映画だかわからないみたいな撮り方のアート映画としてはマリメッコ創業者アルミ・ラティアの人生を描いた『ファブリックの女王』みたいにもうちょっとうまくやっているものがある。また、映画と演劇のリアリティラインは違うのにまるで映画みたいに撮っているせいで、たまに演劇として見るのであればとくに何もおかしくない台詞がやたらわざとらしく聞こえることがある。全く個人的な趣味なのだが、私はこういう配信舞台は見たくはない。

たかが世界の終わり [Blu-ray]

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  • 発売日: 2017/09/06
  • メディア: Blu-ray