舞台版のほうが良かったような…『ミーン・ガールズ』

 新作映画『ミーン・ガールズ』を見た。これはけっこうややこしい経緯の映画で、とりあえずおおもとの「原作」はロザリンド・ワイズマンによる子育て本『女の子って、どうして傷つけあうの?: 娘を守るために親ができること』である。これをもとにリンジー・ローハン主演の映画『ミーン・ガールズ』が2004年に作られ、ティーンコメディの名作として長年にわたり人気を博すようになった。その後舞台ミュージカル化され、さらにそれがミュージカル映画になった…という経緯である。

 話はもともとの2004年の『ミーン・ガールズ』とだいたい同じで、ケニアの僻地で研究者の母と暮らしていた少女ケイディ(アンガーリー・ライス)がアメリカに引っ越して高校に通うようになるという話である。時代設定は2024年時点の現在になっており、スマートフォンとか配信とか、現代的なカルチャーがいろいろ取り入れられている。2004年にはギリギリ通用したが今だとアホすぎるのでは…みたいなジョークもアップデートされている。

 けっこう頑張って現代のお話にしている感じだが、正直舞台版のほうが良かったと思う。舞台は変わったプロジェクションの使い方をしていたり、面白いと思える演出のポイントがいくつかあったのだが、映画にするとそういう舞台ならではの味付けが消えるので、そのぶんの楽しさは減少していると思った。また、『glee/グリー』とか『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』みたいなものを既に通過し、スマートフォンSNSが普及しまくった時代にやるにはちょっと無理がある展開である気もするので、そのへんの古さが気になるというところもある。一番思ったのは、2024年にやるなら『ミーン・ボーイズ』にすべきでは…ということだ。たぶん今、問題になっているのは女の子だけのグループでの嫉妬やイジメよりも、レイチェル・ギーザの『ボーイズ 男の子はなぜ「男らしく」育つのか』に出てくるみたいな男の子コミュニティのトラブルじゃないかと思うので、『ミーン・ボーイズ』という映画を作るべきなのでは…と思う。