新刊『学校では教えてくれないシェイクスピア』 をよろしくお願い申し上げます。

こんなところにブリジャートン家~スモックアリー『ローゼンクランツとギルデンスターン』

 スモックアリー劇場でシヴォーン・ヒッキー演出『ローゼンクランツとギルデンスターン』を見た。

 スモックアリーなのでとくに大きいセットとかがあるわけではないシンプルな美術だが、衣装は時代劇風なのにハムレット(カール・フィッツパトリック)が船のデッキにお昼寝チェアを出してサングラスをかけて寝ていたり、妙なところにアナクロニスティックに現代の小道具が出てきて笑いを誘うというような演出である。けっこうモダンな船旅を楽しんでいるらしいハムレットに比べてローゼンクランツ(シェイン・ロビンソン)とギルデンスターン(エレン・コービー)はいろいろ余裕がなくて床で雑魚寝しており、その間にハムレットに王の信書を盗まれてしまう。『ローゼンクランツとギルデンスターン』は不条理コメディなので、こういうのは芝居のトーンに合っていていいと思う。

 この演出ではギルデンスターンを女優が演じている。序盤はボケまくりのローゼンクランツに対してギルデンスターンが優しく、いろいろ突っ込みを入れつつサポートしてくれるのだが、話が進むにつれて2人とも不安に苛まれ、気遣いができるギルデンスターンのほうが余計いろいろ心配してそわそわしているような印象になる。

 このプロダクションでは音楽がけっこう特徴的…というか、全編、現代のポップスをクラシックアレンジで演奏したものを使っている。2CELLOSが目立った使い方をされていたように思うのだが、『ブリジャートン家』のサウンドトラックからも少し使っていたと思う。『ブリジャートン家』はヴァイタミン・ストリング・カルテットによるポップスのクラシックアレンジ演奏をたくさん使用していて、たぶんそのせいでポップスのクラシックアレンジを聞く機会が増えているのかと思うので、こんなところにも『ブリジャートン家』の影響があるのか…と思った。