Companionを見てきた。
アイリス(ソフィ・サッチャー)はボーイフレンドのジョシュ(ジャック・クエイド)と一緒に、知り合いが所有している田舎の別荘に遊びに行く。ところがそこでアイリスは別荘の持ち主であるロシア人の金持ちセルゲイ(ルパート・フレンド)に襲われ、逆襲して殺してしまう。血まみれで別荘に戻ったアイリスは衝撃の事実を知るが…
ポスターや予告などからも推測できるように、アイリスは実はジョシュが自分に合わせてカスタマイズした商用コンパニオンロボットで、人生の全てをジョシュに操られていたことが割と映画の早い段階で判明する。こんなに早く手の内を明かしていいのか…と思ったらその後もまたひねりがあり…みたいな感じで、けっこう洗練された展開の作品である。設定じたいはいろんなSFやホラー、ミステリから持ってきているのだが、どれもパロディみたいに使われていたり、途中でひっくり返されたり、お決まりの展開にセルフツッコミみたいなところもあったりしてかなりポストモダンな感じの作品で、非常に笑える。
白人男性が持っている優越感を痛烈に諷刺する内容で、ロボットが主人公で田舎の一軒家が舞台、集まった人たちの間で人間関係のトラブルもあり…というところも含めて『エクス・マキナ』+『ゲット・アウト』+『ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ』みたいな感じだが、このあたりに比べるとわざと少しB級っぽいフレーバーをつけている一方、全体的にはロマコメの裏返しというか、ロマンティックコメディに存在する恋愛至上主義や、女性向けと見せかけた男性中心主義を皮肉っているようなところが多い作品である。ジョシュは一見優しいボーイフレンドのように見えるが、車から降りる時に荷物を全然持たないあたりから既に「あれ?」みたいな感じで、だんだん本性が明らかになる。最後までまったく深みのない人物で、自分には人を支配する特権があると思っている。
一方でジョシュと共謀したり、従ったりする連中は欠点だらけでだいぶやばいところはあってもまだジョシュより人間味がある…というか、行動に理解できる点がある。キャット(メーガン・スリ)はアイリスを嫌っているが、これはキャット自身が金持ちのセルゲイの愛人として暮らしており、自分は男性のおもちゃでアイリスと同じではないかという不安を抱いているからだ。キャットは見たところ元気のいい女性に見えるが、最初はセルゲイ、次はジョシュに従っており(最後の最後にやめようと思った時には遅かった)、結局のところなかなか男性に異議を唱えられない女性である。ラテン系のゲイ男性であるイーライ(ハーヴィ・ギレン)も結局ジョシュの言うことを聞いてしまうという問題はあるが、少なくともジョシュよりもパトリック(ルーカス・ゲイジ)のことをきちんと尊重している。こういうキャラクターの描き分けを通して、マジョリティだろうとマイノリティだろうと人間にはいろいろ人格的な問題があるが、ずーっとマジョリティだった人の特権意識が一番肥大している…ということをかなり手厳しく描いている。