新刊『学校では教えてくれないシェイクスピア』 をよろしくお願い申し上げます。

力の入った作品だが、撮影が個人的に…『ナミビアの砂漠』(試写)

 山中瑶子監督『ナミビアの砂漠』を試写で見た。

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 若い女性カナ(河合優実)の暮らしぶりをリアルにとらえた作品である。カナはボーイフレンドと同棲しているのに二股をかけているわ、嘘をつくわ、他人を試すようなことをするわ、かなり困った人なのだが、そういういけすかないところも含めて奥行きのある面白いキャラクターとして描かれているのが良い。河合優実がカナを大変生き生きと演じており、道路で走ったりするところの妙な解放感はちょっと『汚れた血』(その後『フランシス・ハ』でオマージュされるわけだが)を思い出した。カナとボーイフレンドの何気ない会話から男性の身勝手さが垣間見えるところがあったりするのも面白い。

 ただ、全体的に手持ちで撮られているところがけっこうあり、撮影スタイルとしては非常に私が苦手なタイプの作品だった。とくに室内の親密感ある場面なども手持ちなので、ブレがかなり気になる…というか正直、たまにカメラ酔いするところがあった。『エゴイスト』なんかもそうだったのだが、日本のこういう野心的な映画で手持ちを多用する傾向については、カメラ酔いがひどいタイプの観客として私は全然、良いとは思っていない。