男の子も女の子も空から降ってくる〜Miss Pole Dance Japan & Pole King Japan 2014

 なかのZEROで、2014年のMiss Pole Dance Japan & Pole King Japanを見てきた。かねがねポールダンスを生で見たいと思っていたのだが機会がなく、今回が初めて。女子シングル、男子、ダブルス(ペアの性別は問わない)の3種目がある。48組も出場するので6時間くらいかかり、かなりの長丁場。私は競技は全部見たが、最後の審査結果は疲れて待てずに帰ってきて家で結果を見た。

 初心者なので何もわからないのだが、とにかく技術が皆すごくて驚いた。どの技も腕だけでポールにつかまって全身を支えるとかとんでもない体勢でぐるぐる回るとか、筋力と柔軟性が必要なものばかり。男子部門はみんな腹筋が6パックに割れてて、女子も筋肉があるのにほとんど贅肉がついてないようなアスリート体型の人が多い(女子で腹筋が割れてる人もいた)。とりあえず見ていて思ったこととしては、ポールダンスは平面を移動するんじゃなくて上下の動きが多数をしめること、また速い動きよりは止める動き(急激落下して止まる、とか、アクロバティックなポーズでぴしっと止めるとか)に技術が必要なところがほかのダンスと少し違うような気がする。

 全体的に、コンセプトよりもかなり技術重視だと思った。今までバーレスクフィギュアスケートに結構近いと思ってたが、ポールダンスの方がずっとフィギュアスケートに近い。バーレスクは政治的だったりDIYだったりしてコンセプト勝負なところがあるが、ポールダンスとフィギュアスケートはどちらも相当に技術指向だし(コンセプトは大事ではあると思うが)、セクシュアリティとスポーツの間で危険なバランスをとっている感じも共通点あるし、あとポジションを変えるスピンとか回転技が多くて単純に見た目が似てる。

 ちなみにポールダンスというと、ダンス好きはともかく一般的にはストリップティーズの一種というイメージがあるのだが(バーレスクでポールやる人ってそんなにすごく多いわけじゃないのだが)、どうもそういう過剰に性化されたイメージを払拭しようという動きがかなりあるみたいで、今回の競技会でもストリッパーシューズを履いている女性ダンサーはほんの少ししかいなくて大部分は裸足だった。一人だけ、アイスクリームのルーティンをやったIceというダンサーはかなりバーリー・ポール(バーレスクのポールダンス)に近い感じで、ストリッパーシューズはいてたし(ヒールをつかむ技があった)、途中ちょっと脱ぐ振り付けがあったし、コンセプトもかなりバーレスク的で私の好みだった。

 それで、いきなり学者らしくない趣味の世界に突入するが、男子ポールダンスは超セクシーであった。何といっても文字通り男性が空から降ってくるのである。しかも回転しながら。It's raining men, ハレルヤ!としか言いようがない。というのはふざけすぎだが、まったく重力に抗うかのようにダンサーが軽やかにポールをのぼっていったかと思えば、回転を加えながら急に落下してきたりするあたりは、見ていてうっとりしてしまう(男子部門に限らず女子部門でもそうだったが)。しかしながら男子部門の選手紹介では皆「男性ならではの力強い動きを」などという文言が入っており、かなりジェンダー化されてると思った。ポールダンスは明らかに女性優位なお稽古ごとだと思うので、そういうところで男性が気合いを入れて上達ためにはそういうエクスキューズが必要なんだろうと思う。

 ↓ちなみに、ポールダンスについては良い研究書が出てる。これはけっこうオススメ。

Pole Dancing, Empowerment and Embodiment
Samantha Holland
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