さまざまな女たちの美しいハーモニーをキタナイ下ネタで楽しく表現!〜『ピッチ・パーフェクト2』(ネタバレあり)

 『ピッチ・パーフェクト2』(リンク先音声注意)を見てきた。

 『ピッチ・パーフェクト』の続編である。バーデン大学の女子アカペラグループバーデン・ベラーズが、コペンハーゲンのアカペラ世界大会で優勝するまでの苦闘を描いた作品だ。

 とにかく出てくる女性たちが人種も性的志向も生い立ちも多様で、ヒロインのベッカ(アナ・ケンドリック)はちっちゃいのだが「ファット・エイミー」ことエイミー(レベル・ウィルソン)はかなり太っててオーストラリア人、アジア系のリリー(ハナ・マエ・リー)やアフリカンでレズビアンのシンシア(エスター・ディーン)、グアテマラ出身のフロー(クリッシー・フィット)などなど、全然違うがそれぞれ個性も魅力もある女性たちが自分たちらしく、完璧に調和したハーモニーを奏でる。ベクデル・テストはもちろんパスする。最後にエイミーが「いろんな民族でほとんど女性の私たちの力を見せてやる!」と言い、ビヨンセの'Run the World (Girls)'でパフォーマンスがはじまる世界大会クライマックスはそれだけでぐっとくるものがある。選曲のセンスも抜群だし、女性にも音楽が好きな人にも元気を与えてくれる映画だと思う。

 …と、いうことで、あらすじだけ書くと爽やかで理想主義的な話に見えるのだが、ものすごく下ネタが多いせいで清潔感が一切、相殺されていて、かえって清々しく見られる(というとヘンだが、いろんな意味で臭いところはあっても鼻につくところが無い)。しょっぱなから相変わらずとんでもない下ネタ(第一作もそうだった)だし、ずーっと人種差別・性差別発言をしまくるイヤミなコメンテイターとか、お腹のトラブルをかかえたエイミーとか、まあとにかくいろんな種類のかなりキタナイ下ネタだらけである(詳しく解説するとネタバレになってしまうのでやめておく)。前作もそうだが、美しいハーモニーに関するキタナイお話なのである。