いろいろ詰めは甘いが、楽しく爽やかな青春映画〜『グッバイ、サマー』

 ミシェル・ゴンドリー監督の新作『グッバイ、サマー』を見た。

 主人公はヴェルサイユに住む14歳のダニエル(アンジュ・ダルジャン)と、ダニエルの学校に転校してきたテオ(テオフィル・バケ)。女の子みたいな外見でチビと呼ばれているダニエルと、機械いじりが得意でガソリンと呼ばれるテオは変わり者同士すぐ仲良くなる。ふたりで廃品を使った車を作り、さらにそれに家をのっけて動く家で夏休みに旅に出る。旅に出た先ではいろいろな冒険が…

 とにかく爽やかで笑える青春もので、ダニエルもテオもとても生き生きしている。自分の個性や憧れのローラへの恋に悩んでいるダニエルと、アクの強いテオが協力したりケンカしたり仲直りしたりする過程がとてもナチュラルに描かれている。前半のいろんなゴミを集めて車を作る試行錯誤もワクワクするし、旅行に出てからもいろいろな冒険がある。

 ただ、中途半端に社会問題を組み込んでいたり、強引な展開が機能してないんじゃと思えるところもあった。テオがかなり虐待的な親に育てられていてダニエルと階級が違うとか、ふたりの車がロマの家と間違えて焼かれてしまうというあたりはうまくいってると思うのだが、途中のアジアンマフィアの抗争に巻き込まれるところはまるごといらないのではないかと思った。どうも見た目はコリアンマフィアかチャイニーズマフィアかなんかなのにメンバーが日本語しゃべってるのもおかしいし…このあたりはちょっと東アジアに関する誤解とか調査不足を感じる。アメフトのくだりも、今までテオのアドバイスに従ってばかりだったダニエルがテオに反対するのかと思ったら結局テオに従うというオチになっており、なんかちょっとグダグダした印象を与える。冒険部分は、まあ子どもの目から見ているからというのもあるだろうが、ファンタジーっぽい話だと割り切ってもちょっと詰めが甘かったり、たるかったりする描写もあるかなと思った。

 なお、この作品はベクデル・テストをパスしない。オドレイ・トトゥが母役で出てたりはするのだが、会話のほとんどはダニエルとテオが絡むもので、女だけの会話はローラが男たちの話をするところ以外ほぼなかった。