大変よくできたロマコメに関するドキュメンタリー~『ロマンティック・コメディ』(配信、オンライン試写)

 Bunkamuraル・シネマの配信サービスAPARTMENTで配信されている『ロマンティック・コメディ』をオンライン試写で見た。エリザベス・サンキー監督による、ロマコメを主題とするドキュメンタリー映画である。

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 ロマコメの歴史をきちんと踏まえつつ、そこにひそむジェンダーや階級、人種の偏りなどの問題を指摘したもので、大変よく整理されたドキュメンタリーである。スクリューボールコメディの時代のヒロインに比べると現代のロマコメに出てくるキャリアウーマンはドジキャラが多くて、どうもそういう要素は男性がキャリアウーマンに対して怖じ気づかないように取り入れられているのではないか…とか、マリリン・モンローはどの男性もびびらせてしまうくらい美しくてセクシーだったのでもう少し長生きしていればロマコメにも新展開があったのでは…とか、いろいろ興味深い指摘が出てくる。近年のロマコメに関するさまざまな指摘についても、男性と趣味があう女性のほうがモテるとか、やたらと男性がアグレッシヴだとか、いろいろなステレオタイプを手際よく指摘している。背景にかなりのロマコメ愛があり、こだわりに基づく批判であるところが良い。ロマコメ好きにはもちろん、『セルロイド・クローゼット』みたいな映画史ドキュメンタリーが好きな人におすすめだ。