どうしてバイロンがこうなった…?~ハインリヒ・マルシュナー『吸血鬼』

 ハインリヒ・マルシュナー『吸血鬼』を配信で見た。ジョン・ポリドリの『吸血鬼』が原作のオペラである。ハノーファー国立歌劇場が3月25日に上演したもので、Ersan Mondtag演出、Stephan Zilias指揮によるものである。

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 全体的に音楽はロマン主義的でわりとドラマチックである。全く聴いたことのない作曲家の作品だったのだが、音楽じたいは面白いと思った。ただ、全体的にお話は短編がベースなのにちょっと長すぎるような気がしたのと、あとセットが石だらけで歩きにくそうだし、あんまり見やすくもないのはそんなに良いと思わなかった。一番面食らったのは、どうももとの台本には出てきてないさまよえるユダヤ人の役柄とバイロンの役柄があることである。バイロンはベニー・クラッセンスが演じていてほとんどセリフだけなのだが、ピンクのスーツを着ていてえらくキャンプで、面白いキャラクターではあるのだが全くバイロンに見えないし、正直、作品全体の雰囲気にもあっていない気がする。バイロンを出すならもっとバイロンっぽいキャラクターにすべきだし、そもそも吸血鬼をバイロンっぽくしたほうが作品にはあうのでは…と思った。