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第一次世界大戦中の「モダナイズ」演出~『ザ・コラール 希望を紡ぐ歌』(試写)

 ニコラス・ハイトナー監督、アラン・ベネット脚本の『ザ・コラール 希望を紡ぐ歌』を試写で見た。

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 第一次世界大戦中のヨークシャの田舎町が舞台である。男性が徴兵されてしまったため合唱団は人員不足で、てこ入れのためドイツ好きでゲイということで敬遠されているが優秀な音楽指導者であるヘンリー・ガスリー(レイフ・ファインズ)が雇われる。バッハは敵性音楽で反発が多すぎるということで演目を変更し、ご当地の作曲家エルガー(サイモン・ラッセル・ビール)の『ゲロンティアスの夢』をやることになるが、難しい曲目でソロの老人役をつとめるバーナード(ロジャー・アラム)が歌いきれず、片腕を失って復員してきた若いクライド(ジェイコブ・ダッドマン)が主役を歌うことになる。これにあわせて演目を現代の若い兵士の物語として演出することになるが…

 個々のパーツはけっこう面白いのだが、尺がそんなに長くないわりにはいろんな人が出てきて、ヘンリー以外にも合唱団の若者たちに関するドラマなどをかなり細かくやっているので、ちょっと焦点がブレてしまっている感じがする。とくに若い兵士たちの性生活の話はコミックリリーフとしてやっているのだろうが全体のトーンとあんまりあわない気がするので、ちょっとしたユーモアはまあいいのだが、本筋はヘンリーとクライドくらいにしぼって真面目な雰囲気でやったほうがまとまりのある話になったのでは…という気がする。また、個人的には第一次世界大戦期にオラトリオをこんなに現代風に変更したいわゆるモダナイズの演出でやるかな…というようなところも気になってしまった(事例があるなら知りたいが…)。