シェイクスピア以外のイギリス初期近代演劇日本語翻訳一覧(このエントリはどんどん更新する予定です)

 なんか、id:drydenianaさんと「初期近代のイギリスの芝居で、見たことないけど流通してるらしい日本語訳って結構あるみたいですよねー」とう話になったので、ちょっとリスト化してみようかと思う。


 対象とするのはエリザベス一世〜アン女王の治世の間に英語で書かれた芝居。ただしシェイクスピアはおそろしい数が出ているので、今回は除外(…ハムレットだけで一エントリになるよ…)。道徳劇、芝居ではない詩、散文の作品、英語以外(スコットランド語やウェールズ語アイルランド語など)は除外(このへん余裕があればまた別にエントリをたてます)。作家の姓の五十音順で並んでて(共作は一番後)、できるかぎりアマゾンリンクをはります。

 また、絶対に取りこぼしがあると思うので(とくに王政復古期)、情報提供を求めております。皆様是非情報を!


○ジョン・ウェブスター
・『モルフィ公爵夫人』(The Duchess of Malfi)
 小田島訳。

 関本まや子訳が筑摩文学大系と『エリザベス朝演劇集』に収録。
 


・『白い悪魔』(The White Devil)
 小田島訳。

 川崎淳之助訳が『エリザベス朝演劇集』に収録。

 たぶん下はこれの再録?


○トマス・オトウェイ
 『スペイン王子、ドン・カーロス』(Don Carlos, Prince of Spain)、『孤児(または、不倖せな結婚)』( The Orphan, or The Unhappy Marriage)、『救われたヴェニス(または、暴かれた陰謀)』(Venice Preserv'd, or A Plot Discover'd)が千葉孝夫訳『トマス・オトウェイ悲劇集』に収録。


トマス・キッド
・『スペインの悲劇』(The Spanish Tragedy)
 村上淑郎訳が『エリザベス朝演劇集』に収録。

 斎藤国治訳が『エリザ朝初期悲劇喜劇集』に収録。



ロバート・グリーン
・『ジェームズ四世のロマンス』(The Scottish History of James)


・『ベイコンとバンゲイ』(Friar Bacon and Friar Bungay)
 大場健治訳が『エリザベス朝演劇集』に収録。


○ウィリアム・コングリーヴ
・『世の習い』(The Way of the World)
 笹山隆訳が岩波文庫から。


 角倉康夫訳があぽろん社より『世のならわし』として出てます。


 福原麟太郎訳が『世間道』というタイトルで『英吉利古典劇集』に収録。


○ジェームズ・シャーリー
『快楽夫人』(The Lady of Pleasure)

 千葉孝夫訳『枢機卿』(The Cardinal)が愛知大の機関リポジトリからダウンロードできます。こちら。


ベン・ジョンソン
・『エピシーン』(Epicene) 単体で二種類出てます。
 まず早稲田のエリザベス朝喜劇シリーズから 岡崎凉子訳が。

 それから柴田稔彦訳が『ベン・ジョンソン戯曲選集3』として出てます。


・『ヴォルポーネ』(Volpone) 何種類か出てます。
 まず『錬金術師』と一緒に出ている小田島雄志訳↓

 それから大場建治訳『古ぎつね』。『ベン・ジョンソン戯曲選集2』として出てます。

 見たことないんですが、これは篠崎書林から出てる『ヴォルポーネ』の再版じゃないのかな…

 あと、筑摩文学大系と『エリザベス朝演劇集』に三神勲訳が入ってるみたいです。
 


・『錬金術師』(The Alchemist)
 何種類か出ています。
 まずは『ヴォルポーネ』と一緒に出ている小田島雄志訳。

 
 それから大場建治訳。まず南雲堂から出て、次に国書刊行会から『ベン・ジョンソン戯曲選集4』として再版されてます。
 

 櫻井忠一訳『錬金術士』(1654)…『同志社大学短期大学部研究年報』第3号別冊に収録←見たことないです。


・『十人十色』(Every Man in His Humour)
 村上淑郎訳が『癖者ぞろい』いうタイトルで、『ベン・ジョンソン戯曲選集1』に入ってます。


 あと『英吉利古典劇集』っていう恐ろしく古い本に北村喜八訳が『十人十色』ってタイトルで入ってるんですが、さすがにこれは見たことない…


・『バーソロミュー・フェア』
 大場建治、井出新訳が『ベン・ジョンソン戯曲選集5』として出てます。


・『新聞商会』(The Staple of News)


○スザンナ・セントリーヴァ
榎本虎太訳『大成功』(1907)←たぶん歌舞伎台本だと思う…んですが、何の芝居か不明。


○シリル・ターナー
・『無神論者の悲劇』(The Atheist's Tragedy)
 小田島訳。

 大場健治訳が『エリザベス朝演劇集』に収録。


○ロバート・ダヴェンポート
・『ジョン王とマティルダ』(King John and Matilda)
 千葉孝夫訳が愛知大の機関リポジトリからダウンロードできます。こちら。

○トマス・デッカー
・『オールド・フォーチュネイタス』(Old Fortunatus)

・『貞淑な娼婦 第一部』(The Honest Whore, Part I)

・『貞淑な娼婦 第二部』(The Honest Whore, Part II)


・『靴屋の祭日』(The Shoemaker's Holiday)
 三神勲訳が筑摩文学大系14と『エリザベス朝演劇集』に収録。
 


ジョン・ドライデン
すべては愛のために』(All for Love)
 竹之内明子訳。

 千葉孝夫訳『ドライデン悲劇集』(中央書院)には『グラナダ征服』(The Conquest of Granada)、『オーラン・ジーブ(Aureng-zebe)』、『インディアンの皇帝』(The Indian Emperour)、『暴虐の恋』(Tyrannick Love)、『すべて恋ゆえに』(All for Love)が入ってます。

千葉孝夫訳『インディアンの女王』(The Indian Queen)が愛知大の機関リポジトリからダウンロードできます。こちら。

ジョージ・ピール
・『お婆ちゃんの冬物語』(The Old Wive's Tale)


ジョン・フォード
・『あわれ彼女は娼婦』('Tis Pity She's a Whore)
 小田島訳がまず筑摩文学大系と『エリザベス朝演劇集』に収録後、単行本化。
  


・『心破れて』(The Broken Heart)
 小田島訳。

 佐竹竜照訳訳『傷心』

 あと、『英吉利古典劇集』に入ってる竹友藻風訳『絶望』ってのはこれだと思うんですが、イマイチ自信ないです。



○リチャード・ブルーム
・『愉快な仲間またの名浮かれ乞食』(A Jovial Crew or The Merry Beggars)


・『アンティポデス』(The Antipodes)
 小野正和訳が『イギリス・ルネサンス演劇集1』に。


○ジョン・フレッチャ
・『野鴨追い』(The Wild Goose Chase)

・『女の勝利またの名じゃじゃ馬馴らしが馴らされて』(The Woman's Prize, or the Tamer Tamed)


○トマス・ヘイウッド
・『優しさで殺された女』(A Woman Killed with Kindness)
 中野里皓史訳が『エリザベス朝演劇集』に収録。

・『イギリスの旅人』(The English Traveller)
 岡崎涼子訳が『イギリス・ルネサンス演劇集1』に収録。


○ヘンリー・ポーター
・『アビントンの焼きもち女房たち』(The Two Angry Women of Abington)


○フランシス・ボーモント
・『ぴかぴかすりこぎ団の騎士』(The Knight of the Burning Pestle)


○ジョン・マーストン
・『オランダ人娼婦』(The Dutch Courtesan)



○フィリップ・マッシンジャー
・『古い借金を新しく返す方法』(A New Way to Pay Old Debts)

・『町人奥様』(The City Madam)


○クリストファー・マーロウ
・『フォースタス博士』(Doctor Faustus)
 小田島訳。

 千葉孝夫訳。


 筑摩文学大系、及び『エリザベス朝演劇集』に平井正穂訳が『フォースタス博士の悲劇』として収録。
  

 たぶん入手困難な永石憲吾訳(英潮社新社、1988)。

松尾相訳(岩波書店、1929)。

 あと岸弘訳が『フオオスタス博士悲史』というタイトルで『英吉利古典劇集』に収録。


細川泉二郎訳(愛育社、1948)。

佐竹龍照訳(大学書林、1982)。


・『マルタ島ユダヤ人』(The Jew of Malta)

 小津次郎訳が『エリザベス朝演劇集』に収録。

 千葉孝夫訳。

 永石憲吾訳。

 水田巌訳。


熊崎久子訳『クリストファー・マーロー戯曲選』(青山社、1999)に収録。


・『タンバレイン大王』(Tamburlaine)
 千葉孝夫訳。

永石憲吾訳(英潮社事業出版、1977)。

 川崎淳之助訳。


・『パリの虐殺』(The Massacre at Paris)
 永石憲吾訳。

 千葉孝夫訳。

熊崎久子訳『クリストファー・マーロー戯曲選』(青山社、1999)に収録。

・『エドワード二世』(Edward II)
 千葉孝夫訳。

永石憲吾訳(英潮社事業出版、1980)。


熊崎久子訳『クリストファー・マーロー戯曲選』(青山社、1999)に収録。


・『カルタゴの女王ダイドー』(Dido, Queen of Carthage)
 千葉孝夫訳(松柏社、1983)。

 永石憲吾訳(英潮社新社、1988)。


○トマス・ミドルトン
・『チープサイドの貞淑な乙女』(A Chaste Maid in Cheapside)


・『女よ、女に心せよ』(Woman Beware Woman)
 小田島訳が『エリザベス朝演劇集』に収録。


・『おかしな世の中』(A Mad World)
山田英教訳が『イギリス・ルネサンス演劇集2』に収録。


・『復讐者の悲劇』(The Revenger's Tragedy)
 この小田島訳、シリル・ターナー作となってますが今はミドルトン作というのが定説。

 大場健治訳。たぶん入手困難。


○ニコラス・ユーダール
・『ラルフ・ロイスター・ドイスター』(Ralph Roister Doister)
 村上文昭訳が『エリザ朝初期悲劇喜劇集』に収録。


ナサニエル・リー
・『ソフォニスバ』
 千葉孝夫訳が愛知大の機関リポジトリからダウンロードできます。こちら。


○ジョン・リリー
・『マザー・ボムビー』(Mother Bombie)


○ジョン・レッドフォード
・『ウィット・知恵蔵とサイエンス・華子』(The Play of Wit and Science)
 冬木ひろみ訳が『イギリス・ルネサンス演劇集2』に収録。



○共作
・トマス・デッカー、トマス・ミドルトン『女番長またの名女怪盗モル』(The Roaring Girl)


ジョージ・チャップマンベン・ジョンソン、ジョン・マーストン『東行きだよーお!』(Eastward, Ho!)


・フランシス・ボーモント、ジョン・フレッチャー『乙女の悲劇』(The Maid's Tragedy)
 小津次郎訳が筑摩文学大系と『エリザベス朝演劇集』に収録。
 


・トマス・ミドルトン、ウィリアム・ロウリー『チェインジリング』(The Changeling)
 笹山隆訳が筑摩文学大系と『エリザベス朝演劇集』に収録。
 


・トマス・ノートン、トマス・サックヴィル『ゴーボダック』(Gorboduc)
 斎藤国治訳が『エリザ朝初期悲劇喜劇集』に収録。


シェイクスピア外典
・『エドモントンの陽気な悪魔』(The Merry Devil of Edmonton)


・『フェヴァシャムのアーデン』(Arden of Faversham)

・『マーリンの誕生』(The Birth of Merlin)
清水阿や訳(ドルフィンプレス、1989)。

○作者不明
・『ガマーガートンの縫い針』(Gammer Gurton's Needle)
 斎藤国治訳が『エリザ朝初期悲劇喜劇集』に収録。