バーミンガム(3)オールド・レプ・シアター『レント』

バーミンガムではオールド・レプ・シアターで『レント』を見てきた。マイケル・ネリ演出で、地元の役者をメインに据えたものらしい。セットは金属の骨組みだけで、左手に赤いソファ、上にたまにプロジェクションでいろいろなものを映したりする。電話のメッセージは全部、プロジェクションで音波の波形として表示される。
 とりあえず以前に見た日本版よりもずっと面白かった。歌とセリフの間に切れ目がなく、スムーズに会話から歌へ、歌から会話へ移行するので、いい意味でくだけた感じがする。このカジュアルな雰囲気のせいで時代劇っぽさがなくなり、20年も前の話とは思えないような現代的な話に見えるようになっている。日本版がちょっと時代劇っぽかったのに比べると、演出のほうでもずいぶんと現代のイギリス人に伝わるようモダンにしている気がした。
 歌や演技には文句は無いのだが、地元でキャストを調達したせいなのか、役者にアフリカンや南アジア系があまりいないのが気になった。とくにエンジェルとコリンズは人種が違うカップルの設定だと思うのだが、バックグラウンドが違う者同士がどうしようもなく惹かれ合う感じがあんまりない。さらにどうも役者同士の息があってない感じで、ちょっと親密感とか「運命の恋」っぽさに欠ける感じでそこがよくなかったと思う。