トム、そんなに頑張らなくてもいいですから…『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(ネタバレあり)

 『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』を見てきた。

 あらすじはまあ、イーサン・ハント(トム・クルーズ)がまた世界を救う話である。今回は連動している2つの核爆弾の爆発を防ぐため、イーサンが大活躍する。イーサンの元妻やら過去に逮捕したテロリストやらも登場し、騙し合いやら裏切りやらで大変複雑な話が展開する。

 …ということで、まじめにあらすじを書く気が全くないのだが、なんといってもこの話は完全な脚本ができていない状態でどんどんアクションを撮って、それをつなげるみたいにストーリーを作っていったらしいので、たぶんあらすじを記述するのにあまり意味がない。前作『ローグ・ネイション』の時もそうだったが、ストーリーは異常に複雑…であるものの、たぶん別にあんまり話を追えていなくても差し支えなくて、イーサンが世界を救ってくれるということだけ理解できれば楽しめる。最初に細かいストーリーができていなかったにしては辻褄合わせがちゃんとしているが、それでも細かいところはけっこうアラがたくさんあり、ウォーカー(ヘンリー・カヴィル)のキャラがブレすぎではとか、スローン(アンジェラ・バセット)の部署は本当に大丈夫なのかとかいろいろツッコミどころはある。なお、ベクデル・テストはパスしない。

 全体的にアクションは本当に凄いし、ルーサーやベンジーなど、イーサンのチームのメンバーたちが信頼しあっている様子とかは細やかに描かれていて、大変面白いアクション映画ではある。前回は複雑な機構を含んだオペラ劇場の撮り方が素晴らしかったが、今作はこれとは正反対の真っ白でシンプルなトイレでのアクションがあり、ここのヴィジュアルはかなり斬新で良かった。これでもかこれでもかと出てくるアクションをこなすイーサンはまるで超人でビックリだが、これでトム・クルーズがスタントを使わず大けがをして撮影が一次中断してしまった…というニュースを聞くとちょっと心穏やかではいられないというか、いやそんな無理しなくてもいいですよという気になる。私はスターが危険なアクションをすべきではないとは思わないのだが(非常に専門的な訓練を受けているとはいえスタント係も人間なので、身体能力の高いスターならば適切な訓練を受ければいろいろなことができてもおかしくはないだろう)、トム・クルーズはもう50代半ばだ。トム・クルーズには長くスターとして活躍して欲しいので、そろそろ危険なアクションは若くてもっと体力のあるスタント係にまかせてほしいと思う。