ザック・エフロンが殺人鬼テッド・バンディを演じるExtremely Wicked, Shockingly Evil and Vile (『テッド・バンディ』)

 Extremely Wicked, Shockingly Evil and Vileを飛行機内で見た(10月に追記:日本公開が決定し、『テッド・バンディ』というタイトルになる予定らしい)。ザック・エフロンが悪名高い猟奇殺人鬼テッド・バンディを演じるという作品である。

 視点人物はシングルマザーのリズ(リリー・コリンズ)だ。リズはある日、バーでハンサムなテッドと出会って意気投合する。娘のモリーにも優しいテッドは理想の恋人に見えたが、やがてテッドが逮捕され…

 脚本にはちょっとたるいと思われるところもある。何も悪いことをしていないのに殺人鬼と深くかかわってしまった女性が主人公なので、方向性としてはもっとリズの精神的問題を掘り下げるほうに行ったほうがよかったのでは…と思うが、この映画は全体的にかなりザックの演技に頼っている。ザックが演じるテッドは極めて魅力的で、出会った人間が誰でも騙されてしまいそうな感じの良さがある。その好感度をフル活用してリズにも殺害対象の女性にもアプローチするわけだが、いったい何がリズと他の被害者達を分けたのか、そのあたりが非常に怖い。どうもテッドはリズのことは本気で気に入っているらしく、得体の知れないところがある。なお、表題の言葉を判決で口にする判事役でジョン・マルコビッチ、リズの同僚役でハーリー・ジョエル・オスメントが出演しており、脇役陣も充実している。

 

 この映画が批判されているのは、まさにザック演じるテッド・バンディが魅力的すぎるというところだ。暴力のフェティッシュ化などと言われているが、映画内では断罪され恐ろしい人物として描かれているものの、やはりザック演じるバンディの魅力には抗いがたいものがある(そこが怖いのだが)。しかしながら、上の記事で指摘されているように、実際には殺人犯というのはこんなに魅力とカリスマと才気を備えているわけではなく、犯罪に関して誤ったイメージを広げる、史実を美化しすぎでは、という批判もあるそうだ。その危険性はたしかに指摘しておいたほうがいいかもしれないと思った。