ライヴの舞台で見てみたいと思った~『パリのアメリカ人』

 松竹ブロードウェイシネマで『パリのアメリカ人』を見た。有名な同名映画の舞台化で、2015年にアメリカで初演されたミュージカルであり、この記録じたいは2018年のウェストエンド公演の映像だそうだ。

 お話は映画に沿っているのだが、久しぶりに見るとこんなにシビアな話だったっけ…と思った。第二次世界大戦の傷跡が生々しい時代を背景にした大人のロマンスで、ヒロインであるバレリーナのリズ(リャーン・コープ)は新しい平和な時代の希望みたいなものを象徴する存在なのかもしれないと思った。そういうわけでみんなリズに夢中になるわけだが、リズが愛しているのはひとりである。新時代の幸せな恋の後ろにはいろいろなことで傷付いている男たちがいる。

 もともとの映画が長いドリームバレエで有名な作品なのだが、この舞台もバレエにものすごく力が入っている。出演者はだいたいプロのバレエダンサーだそうで、ミュージカルというよりは台詞のあるバレエをみているような作品である。これは一度、ライヴの舞台で見てみたいなと思うくらいはダンスの迫力がすごかった。