けっこう台本に問題があると思う~The Secret Love Life of Ophelia (配信)

 グリニッジ劇場のThe Secret Love Life of Opheliaを配信で見た。スティーヴン・バーコフの戯曲をジェイムズ・ハドレルが演出したものである。2001年初演だそうだが、このバージョンはオフィーリアとハムレットのやりとりを全てビデオメッセージにするというものだ。

greenwichtheatre.org.uk

 この芝居は、シェイクスピア風の文体で書かれたオフィーリアとハムレットの書簡のやりとりによって2人の恋情を見せるというものなのだが、このプロダクションでは全てビデオメッセージになっており、一通ずつ違う役者が演じている。つまり、オフィーリアもハムレットもビデオメッセージごとに違う人物になっていて、自宅からスマホで撮ったみたいな映像が入れ替わり立ち替わり現れる。最後にヘレン・ミレンがガートルード役で出演している。

 正直、けっこう台本に問題がある…というか、中盤くらいまではただオフィーリアとハムレットが恋を語っているだけに近く、あんまり話が動かないので、正直、尺が長すぎる。たまにシェイクスピア(『ハムレット』だけではなく『夏の夜の夢』とか、いろいろなオマージュがある)の韻文そのものが入ってくる古風な台詞は悪くはないのだが、前半は芝居というよりはただの詩の応酬である。1場面ごとに役者が変わるので、なんだか朗読イベントっぽく見える。

 場面ごとに役者が変わるというのはなかなか面白いところもあり、こんなに若くて才能のある役者がゴロゴロいて劇場再開を待ってるのか…と思うと心強い。一方、1場面ごとに役者が変わるとキャラクターは大変つかみづらく、一貫性がないように思えるところはけっこうある。完全に個人的な印象だが、ハムレットはわりとみんな好き勝手にやっていてばらつきがあるように思えた一方、オフィーリアはどちらかというと明るく優しく、あまり奇抜なことをしないようにみんな抑えているのでは…と思うところがあった(このため、個性的なしゃべり方やセッティングをしている人がかえって目立つ)。これはおそらくもともとの戯曲の性質のせいなのかなという気もする。