なぜこの編成でちゃんとした音に聞こえるのか…『ロスバンド』(ネタバレあり)

 ノルウェーの映画『ロスバンド』を見てきた。

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 ノルウェー南部の田舎に住んでいる2人の少年、グリム(ターゲ・ホグネス)とアクセル(ヤコブ・ディールード)はバンドをやっており、北のほうのトロムソで開催されているロック大会に出場できることになる。バンド強化のためわずか9歳のチェリストであるティルダ(ティリル・マリエ・ホイスタ・バルゲル)を加入させ、17歳でレーサーになる修行をしているマッティン(ヨナス・ホフ・オフテブロー)を運転手として雇ってトロムソを目指す。ところがアクセルの歌が下手すぎることをグリムがオートチューンでごまかしていたこと、ティルダの親の許可証がニセモノだったことなどがわかり、旅は前途多難で…

 バンドにベースがいなくてチェロを加入させるとかいう時点で大丈夫かという感じなのだが、出来上がった音はけっこうちゃんとしており、意外性があって良かった(よく考えると2CELLOSとかもいるし、ジェスロ・タルみたいにフルートが入るとかいう変わった編成のバンドもいるので、工夫さえすればなんとかなるのかもしれない)。ヴォーカルが下手すぎるという最大の問題の解決法については序盤でけっこう展開が読めるのだが、ここは最後の最後までモメごとで引っ張っている。とにかくメンバーのうちグリム、ティルダ、マッティンは親との関係に問題があり、唯一、親がまともそうなアクセルは子どもっぽいプライドや恋愛で頭がいっぱいであまりそれ以外のことに頭が回っていないというトラブルだらけのバンドで、バンド名もダサいし(ロスバンド・イモターレって何だよ…)、最後まで全部の問題が解決したわけではないのだが(ティルダの親は…)、それでもちゃんと最後のバンド演奏で盛り上げて爽やかに落としている。