Netflix配信で『ニモーナ』を見た。
政治体制が中世の王国に近いまま、技術などが未来になった感じの世界が舞台である。かつて勇敢なグロレスが黒い怪物を倒して平和をもたらしたという伝説があり、城壁に囲まれた王国は今も騎士たちによって守られていた。バリスター（リズ・アーメド）は女王によって初めて平民の中から騎士に選ばれることになり、ボーイフレンドのアンブロシアス（ユージン・リー・ヤン）とともに叙任されることになっていたが、どういうわけだかバリスターの剣に細工がされており、女王が殺害されてしまう。片手を失い逃亡の身となったバリスターは、変身できるふしぎな力を持つ少女ニモーナ（クロエ・グレース・モレッツ）と出会い、濡れ衣を晴らすために捜査を始めるが…
かわいい絵柄のアニメで、フューチャー中世みたいなヴィジュアルが面白い。よくあるおとぎ話を諷刺的にひっくり返したみたいな展開が大仰にならないスリリングでユーモアもある語り口で語られていて、最後まで楽しめる。主人公は平民でゲイで騎士を目指しているバリスターと、変身できるため排斥されているニモーナというはぐれ者の2人で、この2人の力によって王国の秘密が暴かれ、外に対して国が開かれるという終わり方になるのもいい。けっこうアナーキーな感じのワルっぽい女の子として出てくるニモーナの複雑な背景が明らかになり、最初は半信半疑だったバリスターとの間に友情が芽生え、悲劇的に終わるかと思ったら最後でまた明るい兆しが…という展開もうまい。声優陣は好演しているし、よくできたアニメ映画である。
