書評

リサ・T・サラソン『マーガレット・キャヴェンディシュの自然哲学』(The Natural Philosophy of Margaret Cavendish: Reason and Fancy During the Scientific Revolution)

リサ・T・サラソン『マーガレット・キャヴェンディシュの自然哲学』(The Natural Philosophy of Margaret Cavendish: Reason and Fancy During the Scientific Revolution, Johns Hopkins University Press, 2010)を読んだので簡単な感想。 この本の基本的な…

イアン・ドナルドソン『ベン・ジョンソン伝』(Ian Donaldson, Ben Jonson: A Life, OUP 2011)

BBCのヒストリーマガジンで褒められていたイアン・ドナルドソン『ベン・ジョンソン伝』(Ian Donaldson, Ben Jonson: A Life, OUP 2011)をやっと読んだ。500ページ以上ある大著でさらっと流し読みしただけなのだが一応簡単な感想を。 全体としては古い史料(ジ…

ニュー・バーレスク論文が掲載された『シアターアーツ』目次

うちが書いたニュー・バーレスクの研究動向紹介論文が掲載された『シアターアーツ』49号が発売されたそうです。定期購読者にはもう届いたらしいのですが、店頭には並んだのかな?アマゾン情報とかはまた年が明けてからアップします。なにせまだ手元に届いて…

ナターシャ・ウォルター、Living Dolls: The Return of Sexism(『生き人形――性差別の帰還』)

ナターシャ・ウォルター(Natasha Walter)のLiving Dolls: The Return of Sexism(『生き人形――性差別の帰還』), Virago, 2010を読んだ。 著者のナターシャ・ウォルターは筋金入りのフェミニストで、The New Feminismの著者であり、Women for Refugee Womenの…

Jan Bardsley, 'Girl Royalty: The 1959 Coronation of Japan's First Miss Universe'(「『女の子の王』――1959年の日本初のミス・ユニヴァース誕生」)

相変わらず長々とミスコンの話題が続いているのだが、反貧困とか経済格差などかたい方面の話題が結構出てきているわりには話が結構あさってのほうに行ってしまって(これはミスコン批判派のせいではないと思うのだが)、私が期待していたミスコンそのものをカ…

ブレンダ・フォーリー『成功まっしぐ裸――モラルの商人としての美人コンテスト参加者とストリップダンサー』(Undressed For Success: Beauty Contestants And Exotic Dancers As Merchants Of Morality)

最近ミスコン論議が相変わらず喧しい上、舞台芸術における女性パフォーマーの歴史についていろいろ本を読む必要があったので(とはいえうちの偏った関心でルネサンスの舞台女優とバーレスクダンサーしかまだおさえていないのだが)、本日はその中からミスコン…

アリエル・レヴィ『男性優越主義のメスブタ――女とオゲレツ文化の興隆』(Female Chauvinist Pigs: Women and the Rise of Raunch Culture)

アリエル・レヴィ(Ariel Levy)のFemale Chauvinist Pigs: Woman and the Rise of Raunch Culture(『男性優越主義のメスブタ――女とオゲレツ文化の興隆』)を読んだ。フリープレスから2005年に出て結構話題になった本らしい。 ずいぶんひどいタイトルでなんか反…

華族史料研究会編『華族令嬢たちの大正・昭和』〜華族の中でも「戦争は勝てない」と思っていた人がかなりいたらしい

華族史料研究会編『華族令嬢たちの大正・昭和』を読んだ。大正期に生まれた四人の華族令嬢、京極典子・寺島雅子・勝田美智子・上杉敏子の四人にインタビューしたオーラルヒストリーものである。華族令嬢とはいえ、とくに大きな政治問題とかについて情報を持…

『近現代日本を史料で読む――「大久保利通日記」から「富田メモ」まで』〜ぜひぜひ富田メモの公開を!

御厨貴編『近現代日本を史料で読む―「大久保利通日記」から「富田メモ」まで (中公新書) 』を読んだ。四十数点の明治以降の史料(日記など個人的な文書、公文書は除外)を簡単に紹介するというもの。新発見を論じるとかではなく、最新の研究トレンドなんかにも…

フランソワ・ゲリフ『不完全さの醍醐味 クロード・シャブロルとの対話』

大久保清朗先輩が翻訳した『不完全さの醍醐味 クロード・シャブロルとの対話』をやっと読んだ。高校生くらいの時にシャブロルは数本見たが、ヌーヴェルヴァーグの映画作家の中ではいまいち印象が薄い感じなので、ちょっと知識を補わないとと思って楽しみにし…

『チェーザレ 破壊の創造者』検討会

30日の西洋中世学会の準備を手伝うため、id:nikubeta邸にて『チェーザレ 破壊の創造者』全八巻を読んで時代考証などを検討するという読書会を実施。漫画をほとんど読まない私としては読み通すだけでかなり大変だったが、歴史ものということで比較的馴染みや…

クリストファー・モラシュ"A History of Irish Theatre 1601-2000"(『アイルランド演劇史 1601-2000』)

クリストファー・モラシュ(Christopher Morash)のA History of Irish Theatre 1601-2000を読んだ。面白かったのだが疑問もあったので、ご紹介。 これは17世紀以降のアイルランド演劇を概観したもので、ジェイムズ・シャーリーがダブリンにやってきた頃から…

三村太郎『天文学の誕生』

三村太郎『天文学の誕生』を読んだ。 岩波科学ライブラリーから出ている120ページくらいのわかりやすい本なのだが、知らないことばかりで大変新鮮だった。 この本によると、古代地中海世界ではプトレマイオス(天動説を唱えたアレクサンドリアの天文学者)の天…