ジェノサイドという言葉の使い方に激怒〜『さよなら東京、さあ座って帰ろうか。』

 池袋演劇祭の審査演目である『さよなら東京、さあ座って帰ろうか。』をシアター風姿花伝で見た。一言で言うと拷問だった…

 とりあえず設定としては2014年にリセットトーキョーという正体不明の災害が発生しており、地上に都市を作れなくなったので郊外から人々が乗車率300%くらいの電車で通勤しており、そのせいでいろいろ電車内で事件が起こって…という話である。まあこの時点で相当ツッコミどころ満載なのだがそれはナンセンスSFだから…ということでいいとしても、設定ひとつひとつがまるで子供が考えたみたいでちょっと見逃せないレベルにツッコミどころだらけで(「企業はともかく、この状況でなんで高校生が東京まで通学してるんだよ!」とか「その衣装はどう見ても神父には見えないぞ!」とか)私はしらけっぱなしであった。さらに、「それいらないだろ」みたいな説明的な台詞(酒飲んだヒロインが「心地よい疲労感〜」とか口に出して言うんだけどその台詞いらんだろ…芝居なんだからもっと気の利いたセリフを言うか表情とかで表現しろよ…)がやたら多くてそれも相当ごめんこうむりたい感じ。最後、リセットトーキョーはロシアの地震兵器の陰謀だったというオチには今時バカSFでももうちょっと気の利いたオチつけるだろと白けた一方、ここまでナンセンスなオチのくせに最後はなんか真面目になっているところも全く私の好みじゃなくて本当につらかった。それにこの芝居は明らかにポスト東日本大震災の芝居だと思うんだけどオチがロシアの地震兵器って何なんだよ…ナンセンス芝居ならもっとナンセンスのやり方があるだろうに…

 しかし一番ひどかったのは、なんか鉄道内で「切断者」こと白澄という男が変な必殺技を繰り出して乗客を傷つける場面があるのだが、それにジェノサイドなんとかという名前がついていること。ここでは「ジェノサイド」を単なる「大量殺人」みたいな意味で使っていて、なんかもうその時点で私は見る気なくなって小屋から出ようと思ったのだが、構造上ちょっと途中で客が出られないようになってたし、審査員だったので諦めた。鉄道の客を狙って無差別殺人するのを「ジェノサイド」って何なのそれ…