洗練と伝統芸能の間で〜『ザ・アイリッシュダンス 〜ラグース〜』

 蒲田の太田区民ホールで『ザ・アイリッシュダンス 〜ラグース〜』を見てきた。

 ラグースは主にアイルランド西部のミュージシャンとダンサーを中心にしたグループで、伝統的なアイルランド音楽とアイリッシュダンスを演奏する。『リヴァーダンス』みたいにストーリーがあるわけではなくレビューに近いものなので、わりとくつろいで見られる。なんか歌手の方はちょっと調子悪かったみたいで若干、低音部に不安定さを感じたのだが、ダンスとバンド演奏の質はとても高くて楽しめると思う。

 今回面白かったのは現代のステップダンス以外にシャン・ノースという古いスタイルのアイリッシュダンスのダンサー(エマ・オサリヴァン)が出演していることである。現代アイリッシュダンスというと上半身をほとんど動かさないで下半身だけでものすごく速いステップを踏む特徴的なヴィジュアルが有名だが、シャン・ノースは下半身はやはり速いステップを踏むのだが上半身もそれにあわせて自然に動くのが特徴で、また現代アイリッシュダンスみたいに大勢で並んで群舞みたいに踊ったりもせず、ソロで即興的に踊る。もちろんプロのダンサーだけあってものすごくうまいのだが、シャン・ノースと現代ステップダンスを交互に見ると、ストリートダンスみたいに見えるシャン・ノースに比べて現代のステップダンスのほうがかなり他のダンス(バレエとかボールルームとか)を取り入れてモダンかつ商業的な形になっているのがわかる。アイリッシュダンスというと素朴な音楽に伝統的な民族芸能…というイメージがあるが、実は我々が見てるアイリッシュダンスっていうのはかなりプロのステージ用に洗練されたものなんだなぁと思った。

 あと、会場だった蒲田の大田区民ホールはがらあきだったのだがわりと良いホールで、すみだトリフォニーをちっちゃくしたみたいな感じでどの席からもけっこう舞台がよく見える。ラグースは先週は文化村オーチャードホールでやったはずなのだが、チケット代は文化村より安いしたぶんどの席からも見やすいってことでは文化村に勝るのではないかと思う。ただ、作りがオシャレなわりに緞帳がやたら昭和テイストな柄なのがキネマの天地蒲田というべきか。

 せっかく蒲田にいったので、開演前には名物の羽根つき餃子を歓迎というお店で食べてきた。

 この餃子、パリパリのハネと肉厚で肉汁たっぷりの中身がすごく美味しい。本当にジューシーで、気をつけて食べないと中の肉汁が飛び出してきてヤケドしちゃうくらいみずみずしい餃子である。

 終演後はCeltsという蒲田駅近くのアイリッシュパブへ。



 雰囲気は悪くないが、分煙がイマイチかな。