前公演よりかなり良くなった〜Casual Meets Shakespeare 『A Midsummer Night’s Dream』

 Casual Meets ShakespeareA Midsummer Night’s Dream』を見てきた

 前回、同じプロダクションで『十二夜』を見たのだが、美術はかなり似ている。前回同様、トランプのような白黒に塗り分けられた床にいくつか道具として箱がある程度のシンプルなセットで、衣装は非常に華やかである。台本は『夏の夜の夢』を基本にしているが、けっこう変えてある。

 前回に比べると、話の流れを阻害するだけだった独白用の演壇がなくなっていたり、かなりすっきりしている。台本のカットもわりと適切だし、付け加えられている場面や台詞もテーマをわかりやすくするためのものが多くて納得できる。冒頭部分はまだ芝居がこなれていなくて相変わらず学芸会みたいだと思えるところもあったが、後半はわりとよくなり、とくにヒポリタとシーシアス、ティターニアとオーベロンが出てくるところはなかなか面白かった。

 演出には特徴的なところがいくつかある。まず、この上演の特徴としてはヒポリタとシーシアスが最初から互いにべた惚れであるというところがあげられる。シーシアスがヒポリタを権力でものにしたみたいな演出もあるのだが、ヒポリタとシーシアスを仲の良いカップルにすると冒頭場面の雰囲気が明るくなるので、これは祝祭的な雰囲気のある全体のトーンに適合していると思う。ライサンダーとディミートリアスには似たような服を着せ、あまり個性のないアテネのよくいる若者みたいに演出することもわりとあるのだが、この演出では着るもの、髪の色、立ち居振る舞いまでかなり個性が違っている。素人芝居が最後、けっこううまくいって感動的に終わってしまい、見ている人の心が変わるというところはスタジオライフ版に似ているかもしれない。あと、オーベロンがティターニアを騙したことについてかなり後悔しているらしいところが演出の特徴で、これはオーベロンをより優しい夫に見せる効果があるのでこれもけっこう改変としてはわかりやすく、いいのではないかと思った。オーベロンとティターニアが人間の恋を見守るという台詞が付け加えられているところもこの妖精たちの優しい祝福の要素を強めている。

 あと、先月見たTypesの夏夢ではボトムが女性だったのだが、この演出でもボトムが女性である。Typesのプロダクションではボトムが女性であることがあまり生かされていなかったと思うのだが、こちらのプロダクションではボトムがティターニアに恋をしかけられた時「女性なんですけど…」みたいな返しをしていて、それなのに怒濤の恋愛に突入してしまうところがちょっと面白い。ただ、やはりもうちょっとボトムが女性であることを芝居全体の中でうまく位置づけられればなあと思う。