リズムの芝居としてのシェイクスピア~しあわせ学級崩壊『ロミオとジュリエット』

 しあわせ学級崩壊ロミオとジュリエット』を見てきた。

 高田馬場の貸し音楽スタジオ、つまりふだんはバンドが稽古をしているような部屋で行われる上演である。ほぼずっと大音量でエレクトロニックダンスミュージックが流れる中、四方の壁に1人ずつ立った4人の役者がリズムに合わせて台詞を言う。誰がどの役と決まっているわけではなく、役はかなり入れ替わる。4人ともほぼずっと目を隠していてシンプルな服装であまり動かないのだが、最後にちょっとだけ動きがある。お客は部屋の真ん中で、周りにいる役者が台詞を言うのを見る。1時間くらいで非常に刈り込んだ上演である。

 

 初っ端でちょっと失敗があったので、いったいどうなることかと不安になったのだが、思ったよりずいぶん面白かった。英語の弱強五歩格で書かれた台詞を日本語で再現するのは不可能に近いので、そんなら音楽に合わせてリズムで押し切ってしまおうというのは、発想としてはかなり伝統に沿っているというか、もとの台詞の音楽的なスタイルを生かそうとしている気がする(英語圏でもヒップホップでやるシェイクスピアというのはある)。たまに台詞が聞こえなくなることがあったし、また最後のジュリエットが寝転がったりするビミョーなセクシー演出みたいな小細工はいらないと思うの…だが、改善したほうがよさそうなところはあっても、かなり意欲的だし、リズムのある芝居としてのシェイクスピアを楽しめる作りだったと思う。ただ、私は面白かったのだが、最後のほうはかなり話を解体しているので、原作を読んでいない人が楽しめたのかどうかはちょっとよくわからない…