ゲイのオーラルヒストリーを題材とするモノローグ劇~『ライオット・アクト』

 配信で1人芝居『ライオット・アクト』を見た。アレクシス・グレゴリー作・出演による、ゲイのオーラルヒストリーをテーマとするモノローグ劇である。ハックニーエンパイアで収録された公演をストリームシアターが有料配信している。

www.stream.theatre

 

 ストーンウォールの反乱に参加したマイケル=アンソニー・ノッツィ、70年代ロンドンでドラァグクイーンとして活躍したラヴィニア・コープ、ACT-UPでAIDSについての活動をしていたポール・バーストンに取材した内容をまとめたものである。それぞれの人物をグレゴリーがひとりで演じ、人生の重要な局面を語る。モノローグごとに着るものやしゃべり方などはかなり変えている。オーラルヒストリー取材に基づいているので、それぞれ個人の視点から生き生きとした活動の様子が語られており、ACT-UPニューヨークでは「沈黙=死」というスローガンを使っていたが、ロンドンではそれではネガティヴすぎるので「アクション=生」にしようとしていたとか、いろいろ面白い話が聞ける。3つのモノローグ全てにAIDSの傷跡が絡んでおり、AIDSがゲイカルチャーに与えた大きな影響が感じ取れる内容になっている。もちろんそうした深刻な問題だけではなく、ドラァグとか政治活動の楽しい面も語られていて、見応えのあるモノローグ劇になっている。