eスポーツのことがよくわからなくても楽しい映画~『PLAY! 勝つとか負けるとかは、どーでもよくて』(試写、ネタバレあり)

 『PLAY! 勝つとか負けるとかは、どーでもよくて』を試写で見た。

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 舞台は徳島の高専である。ケガでバスケットボールを諦めた達郎(鈴鹿央士)は『ロケットリーグ』というゲームの達人で、3人でチームを作って出場するeスポーツ大会への出場を計画する。張り紙に反応した翔太(奥平大兼)と、達朗が無理矢理リクルートした亘(小倉史也)でなんとかチームを編成する。全くの初心者の翔太と、やる気ゼロの亘を従え、チームは前途多難だが…

 

 私は基本的に自分がよく知らないスポーツなどをわかりやすく見せてくれる映画が好きなのだが(全然モータースポーツのことを知らないのだが『ラッシュ/プライドと友情』が大好きだ)、これは『ロケットリーグ』というゲームのことを全く聞いたことがなくてもよくわかるように作ってあり、その点では非常に気に入った。また、登場する高専生のうち、達郎と翔太は家庭に問題を抱えており(とくに翔太は極めて深刻である)、ゲームが心の支えになっているところがある。この2人はアメリカ映画とかなら非行に走っていそうなくらい家庭環境に問題ある気がするのだが、何しろ日本の田舎の高専生なのでなんだかんだで学力が高そうで真面目である一方(たぶん高専に行ったことがある人が見ると高専あるあるとネタとかも入っているのかもしれないと思う)、明らかに日常の苦労を忘れて楽しく打ち込めるものを必要としているので、そこでゲームがポジティブな役割を果たしている。なお、達郎は必死に勉強しなくても何でもできてしまうタイプの秀才、翔太は女の子にモテそうな愛嬌のある金髪、亘は超マイペースでVチューバーにハマりまくっている典型的オタクである。あまり背景がよくわからない亘はたぶん比較的リッチな家庭の子どもだと思うのだが、途中まで本当に呆れるくらいやる気ゼロなのに周りのペースに巻き込まれてだんだんやらざるを得なくなってしまうキャラで、けっこう面白いし演じている小倉の演技も良いので、もう少し描きこんでほしかった。

 また、ネタバレで恐縮なのだが、まあタイトルで示唆されているとおり、この映画は主人公チームが勝たないスポーツ映画である。女子スポーツの映画だとなぜかそういうのが多いのだが、これもまあ勝てそうにもないよね…と思って結局勝てないものの、それよりも楽しいほうが大事じゃないか!というオチになる。私も勝ち負けよりも楽しいのが一番大事だと思うので、そのへんは爽やかな映画だと思う。eスポーツを若干美化しすぎな気はするが、かなり面白く見られた。