ロバート・ゼメキス監督『HERE 時を越えて』を試写で見た。
恐竜の時代からごくごく最近までを直線的ではないナラティブで見せるという作品である。場所は固定されており、18世紀にベンジャミン・フランクリンの息子ウィリアムの家があったところだ。そこに住んでいたいろいろな人たちの話を描くというものである。
グラフィックノベルが原作だそうで、コマにコマが割り込むみたいなスプリットスクリーンとかワイプ(と言っていいのかよくわからないが)の使い方なんかはグラフィックノベルを意識しているのだと思う。そういう視覚効果の点でもナラティブの点でも非常に野心的なことをやろうとしている…とは思うのだが、それが全然うまくいっていないし、別に面白くもなっていない。グラフィックノベルや、あとやり方によっては舞台ならうまくいきそうな気はするのだが、映画にするとあまりにも視点が固定されているので映像的にそこまで面白いというわけではないと思った。リチャードを演じるトム・ハンクスとマーガレットを演じるロビン・ライトがデジタル効果で若くなっているところも全然良くない…というか、これなら若い役者を雇ってメイクで雰囲気を似せたほうがいいのではと思った。脚本もあまりぱっとしない内容で、時系列バラバラものとしてはWe Live in Timeのほうがはるかに良くできているし、狙いがわかりやすい。