台詞回しが悲惨〜板橋演劇センター『ヘンリー六世・第一部』

 板橋演劇センター『ヘンリー六世・第一部』を見てきた。ヘンリー五世亡き後のイングランドとフランスのゴタゴタを憎々しく描いた作品である。

 全体的にかなり台詞回しが悲惨で、とくに前半は大丈夫かと思うくらい台詞を忘れたりつっかえたりする役者が多く、興ざめだった。難しい台詞が多いせいかやたらに滑舌が悪くなってしまったり、もたついてしまう場面も多く、オーヴェルニュ伯爵夫人とトールボットの場面とかはなんかもうカットしたほうが良かったんじゃないかというようなしまりのなさだったと思う。一番ヤバかったのは舞台にいない人がしゃべって声だけ聞こえるという演出の場面で、マイクの前で役者が話して音を出していたのだが、どうも途中で台詞を忘れたのか止まってしまい、その後マイクが台本とおぼしき紙をめくる音を拾っていた。いくらなんでもひどくないか…

 後半は少し台詞がなめらかになって良くなっていたし、フランス軍、とくにジャンヌやシャルルはなかなか表情豊かだったと思う。サフォークがかなりコミカルでエネルギッシュな作りで、マーガレットの前で右往左往する演出も良かった。ただ、やっぱり全体的にもうちょっと台詞を忘れたりつっかえたりしないようにしてもらわないと…