2016年舞台トップ10

 今年はもう舞台を見ない予定なので、今年のトップ10を選ぼうと思う。
 なお、今年見た舞台は102本(バーレスク及び舞台を映像にして映画館で上映したものを含む、ほとんど寝てたものや途中で怒って得たものは含まない)で、たぶん人生で初めて一年に見た本数が100本を越えた。このうち40本くらいは翻案も含めたシェイクスピア関係である(もっと多いかと思った)。一番たくさん違う演出で見たのは『マクベス』(6回、翻案を含む)で、『ハムレット』(5回)がこれに続く。ミュージカルを11本、バーレスクを10本、オペラを4本見ている。非シェイクスピア作品だと、『レント』、『キンキーブーツ』、『ヘッダ・ガブラー』を2回ずつ違う演出で見ている。

 順位はこんな感じ。

1.ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーハムレット』…これは今までの人生でトップクラスくらいに好きな『ハムレット』だった。アフリカを舞台にした凝った美術や設定もさることながら、とにかくハムレットがアーティスティックなのがいい。

2.オレゴンシェイクスピア・フェスティヴァル『十二夜』…30年代のハリウッドを舞台にした洒落た演出で、とにかく楽しかった。マルヴォーリオの扱いも面白かった。

3.『従軍中の若き哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインがブルシーロフ攻勢の夜に弾丸の雨降り注ぐ哨戒塔の上で辿り着いた最後の一行──およそ語り得るものについては明晰に語られ得る/しかし語り得ぬことについて人は沈黙せねばならないという言葉により何を殺し何を生きようと祈ったのか? という語り得ずただ示されるのみの事実にまつわる物語』…哲学をこんなに面白く美しく描いた芝居を見られるとは思ってなかったのでなんかすごいビックリした。

4. カクシンハンによる薔薇戦争サイクル一挙上演…こんだけ政治劇を堪能できて私は満足じゃった。

5.新国立劇場『ヘンリー四世』第1部&第2部…上と同様、本当に政治劇を堪能した。

6. ブラナー・シアター・ライブ『冬物語』…正攻法でとても心に迫る演出だったと思う。

7.オレゴンシェイクスピア・フェスティヴァル『ザ・ヨーメン・オブ・ザ・ガード』…ギルバート&サリヴァンをカントリー&ウェスタンでやるというのにシビれた。

8.クルージュ・ナポカマジャール劇場『ヘッダ・ガブラー』…ついこの間見た作品だが、すごく生き生きした上演だったと思う。

9.tpt『エンジェルス・イン・アメリカ』…上演のクオリティよりも心意気と力強さにやられた感じ。

10. 劇団きのこの森『シェイクスピア様ご乱心』…ちっちゃい話だが、とてもよくできたバックステージものだった。

 今年はとにかく『ハムレット』の出来不出来が激しく、RSC版は生涯最高レベルで面白かったが、砂地版は今まで見た中で最低、紀里谷版がその次にひどかった。

 あと、イギリスで見たお芝居は軒並みポストBrexitっぽい演出になっていたような…来年はどうだろう?