とてもよくできた作品だと思うが、個人的に好きかと言うと…『雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた』(配信)

 『雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた』を配信で見た。清水邦夫の戯曲で、シアターXで上演された公演の記録である。中原和樹演出で、Zoromeha企画によるものである。

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 百貨店の少女歌劇団が太平洋戦争による空襲でバラバラになり、その生き残りでケガを負ってしまった花形女優を男性のファンクラブが守っている…という話である。台詞も物語も、戦争の傷跡を詩的に表現していてよくできていると思うのだが、全く個人的な好みとして、かつての花形女優を騎士団と称する男性ファンが守っている…というのがなんだか『サンセット大通り』とかみたいな発想であんまり乗れなかった。そもそも少女歌劇団のファンって女性が多いのでは…みたいな気もするし、戯曲やプロダクションの完成度とは別の話として趣味にあわない感じがした。