コックピット座、サイエンスバーレスク〜野心的だが失敗気味の科学コミュニケーションショー

 コックピット座でサイエンスバーレスクというショーを見てきた。バーレスクと言っているがストリップティーズショーはなく、もうちょっとオーソドックスなタイプのバーレスクで、パロディやきわどいスタンダップコメディ、セクシーな歌なんかを使って科学のことを下ネタをまじえて面白可笑しく話す、みたいなショーである。出演者は大部分科学関係者(研究者、学生、コミュニケーター、ジャーナリストなど)だが、タイムトラベルをテーマにした奇術をやってるマジシャンのモーガン&ウェストも出演。

 スタンダップコメディや歌ものは科学ネタが結構面白可笑しく盛り込まれていて良かったんだけれども、結構問題があったと思う。とりあえず、科学者らしい女性が2人出て来て全然科学にカンケーない(しかもかなり陳腐な)ダンスとか歌をやるのはあれは何なんだ…いくら科学分野に女性の進出が少ないからって、せっかく科学バーレスクなのに科学に無関係な華やかなダンスとかだけやって引っ込むってまるで「女性はこういう色物的パフォーマンスだけやってくれればOKなんですよ」という考えの表れなのかと邪推してしまう(この間話題になった、東大情報理工の十二単ポスターを思い出した)。普段かなり諷刺的なバーレスクショーばっかり見ている私にはずいぶんダメダメなように見えるし、単純に歌とか踊りだけのパフォーマンスが隠し芸大会レベルなのもよろしくない。一応、きちんとした科学ネタをやる女性も2人出ているのだが、この2人はちゃんとフェティッシュファッションなのに男どもはそこらのラボから出て来たような格好で、やる気あんのかと思ってしまう。なんか科学系のジェンダーバイアスをかいま見たような気分になって不愉快だった。あと、バーレスクのショーで二時間半あって休憩が二回、しかも一人のパフォーマーが二度登場することがあるっていうのはどうなの?ずいぶん間延びした構成だな。

 ただ、最後のカルメン・アリというコメディアンの「周期表乱交大会」っていうスタンダップコメディは面白かった。周期表の元素のうちどれとどれがデキてるかとかどれがモテるかっていう話である。アルゴンは友達がいなくて壁の花らしい。

 まあ、そういうわけで大人向けの科学コミュニケーションショーということで野心的ではあると思うんだけど非常にジェンダーバイアスの点で疑問のある催しだった。