学芸会みたいだった〜両国スタジオアプローズ『ロミオとジュリエット』

 両国のスタジオアプローズでタイプスプロデュース公演『ロミオとジュリエット』を見てきた。

 とりあえず、全体的に学芸会みたいでかなりひどかったと思う。前にタイプスが座・高円寺でやった『ハムレット』はそんなに悪くなかったのだが、この公演にあった悪いところが増幅された感じだ。演技もイマイチだし、演出も全くパッとしない。

 かなりカットして一時間半におさめているのだが、カットのしすぎで台詞のいいところはけっこうなくなっているし、またつながりが悪くなっているところがある。たとえば乳母がロミオと結婚式について連絡をとろうとするところは、乳母がマキューシオと話す場面はあるのにロミオと話す場面はなぜかカットされているため、ちゃんと前後が接続されていないみたいな印象を与える。さらに普通、短くする時にカットされるパリスをロミオが殺すところはなぜかあるのだが、ここの演出はやたら曖昧でパリスが死んだのかどうかすら定かではないし、なくてもいいと思う。一方で原作に出てこないヘレナというジュリエットのいとこが出てくるのだが、これは出す意味があるのか正直全然、わからない。ジュリエットの女友達を出そうというのはわかるが、それならもっとちゃんと劇中で機能させるべきだ。

 一応ミュージカル仕立で、ミュージカル版の『ロミオとジュリエット』の影響が濃厚である。ただ、歌のクオリティはかなり低い上、歌そのものがあんまり劇中で有機的に機能していないので、これなら原作の台詞を生かしたほうがいい。ミュージカル版にならってティボルトがジュリエットに惚れてるとかいう脚色があるのだが、これもあんまり展開の中で意味があるように見えない。一番良くないのはこれまたミュージカル版の影響なのか終盤に死に神が出てくるところで、最後の場面ではジュリエットは魅入られたみたいになって死に神から剣をもらって自害するのだが、これではジュリエットの決意がひどく弱められ、なんか狂気に陥って死んじゃったみたいに見える。このプロダクションのジュリエットは子どもっぽい少女で、主体性がゼロだ。

 全体的にジュリエットに限らず若者たちのキャラクターが薄っぺらくなっていると思うのだが、一番ひどいのはパリスのキャラクターである。なんかパリスはやたら話好きで派手な性格で、どういうわけだかオネエ言葉で話す。派手な色男キャラにオネエ言葉を話させ、ネガティブな役割を負わせるというのは、はっきり言って不愉快になった。