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ヒュー・グラントが若者の信仰を試すホラー〜Heretic(ネタバレあり)

 宗教が題材のホラー映画Hereticを見た。

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 モルモン教徒である若いシスター・バーンズ(ソフィ・サッチャー)とシスター・パクストン(クロエ・イースト)は伝道活動がなかなかうまくいかず、がっかりしていた。ところが嵐の日にたまたま訪問したリード(ヒュー・グラント)はかなり協議に興味を示し、ふたりを家に招き入れてくれる。ところがリードはふたりの信仰を試すつもりだった…

 Immaculateや『悪魔と夜ふかし』なんかに続く宗教系ホラー映画で、宗教がどうやって人を支配しているのかということがテーマである。全体的に、モルモン教徒の少女たちの信仰をひどいやり方で試すヒュー・グラントの演技を見る映画だ。一見大変知的で面白くて感じがいい紳士のように見える…のだが、実はすごくやばい人であるリードを非常に魅力的かつ説得力ある悪役として演じており、グラントを見ているだけで払ったお金のもとはとれるというくらいは面白い。なんと言ってもジャージャービンクスの真似をするグラントが見られるのはこの映画だけである!

 一方で、いろいろ哲学的に面白いトピックをタイトに繰り出してくる序盤に比べて、リードが殺人鬼であることがわかってくる中盤以降はけっこうふつうのホラー…というか、ジャンルのお約束にとらわれしまっている感じでそんなに新鮮味はないと思った。正直なところ、リードを殺人鬼ではなく、単に伝道をしにくる人たちを精神的にいじめて楽しむだけの、とんでもなくヤバいが筋を通すことには変なこだわりがある人みたいなキャラにして、暴力を用いない心理操作を通した圧力がエスカレートしていくほうが一般的なホラーと違って面白くなったし、宗教の問題性を問うというテーマもよりはっきりしたのではないかと思う。なお、モルモン教徒の少女たちはこの種の映画としてはかなりちゃんと描かれていてはっきりしたキャラ分けもあり、薄っぺらいキャラクターではない。元モルモン教徒の人たちからもリアルだという評価を受けているそうである。