ジェンダー

"!WAR Women Art Revolution"(『女の芸術革命戦争』)〜60年代以降のフェミニストアートを追った歴史ドキュメンタリー

突然ですが、質問。「あなたが知っている女性のアーティストを最低三人あげてください」 えーっとアルテミジア・ジェンティレスキ、オノ・ヨーコ、フリーダ・カーロで三人クリア。ケーテ・コルヴィッツ、草間彌生、レオノール・フィニ、レオノーラ・キャリン…

Jan Bardsley, 'Girl Royalty: The 1959 Coronation of Japan's First Miss Universe'(「『女の子の王』――1959年の日本初のミス・ユニヴァース誕生」)

相変わらず長々とミスコンの話題が続いているのだが、反貧困とか経済格差などかたい方面の話題が結構出てきているわりには話が結構あさってのほうに行ってしまって(これはミスコン批判派のせいではないと思うのだが)、私が期待していたミスコンそのものをカ…

ブレンダ・フォーリー『成功まっしぐ裸――モラルの商人としての美人コンテスト参加者とストリップダンサー』(Undressed For Success: Beauty Contestants And Exotic Dancers As Merchants Of Morality)

最近ミスコン論議が相変わらず喧しい上、舞台芸術における女性パフォーマーの歴史についていろいろ本を読む必要があったので(とはいえうちの偏った関心でルネサンスの舞台女優とバーレスクダンサーしかまだおさえていないのだが)、本日はその中からミスコン…

アリエル・レヴィ『男性優越主義のメスブタ――女とオゲレツ文化の興隆』(Female Chauvinist Pigs: Women and the Rise of Raunch Culture)

アリエル・レヴィ(Ariel Levy)のFemale Chauvinist Pigs: Woman and the Rise of Raunch Culture(『男性優越主義のメスブタ――女とオゲレツ文化の興隆』)を読んだ。フリープレスから2005年に出て結構話題になった本らしい。 ずいぶんひどいタイトルでなんか反…

華族史料研究会編『華族令嬢たちの大正・昭和』〜華族の中でも「戦争は勝てない」と思っていた人がかなりいたらしい

華族史料研究会編『華族令嬢たちの大正・昭和』を読んだ。大正期に生まれた四人の華族令嬢、京極典子・寺島雅子・勝田美智子・上杉敏子の四人にインタビューしたオーラルヒストリーものである。華族令嬢とはいえ、とくに大きな政治問題とかについて情報を持…

ちゃんとアウフヘーベンしてなくないか?〜『コクリコ坂から』

友人数人と『コクリコ坂から』を見てきた。火の色をしたフランスの野に与謝野晶子節が炸裂したりする映画なのかと思ったら全然違った。最初はなんか臭そうな男子寮の話でどうなることかと思ったが、最後ややマシになった…ものの、うちは『借り暮らしのアリエ…

エディンバラ旅日記(4)ピープルズ・ストーリー博物館&エディンバラ博物館(「エディンバラの婦人参政権運動」展)

さて、お次は同じくロイヤルマイルにあるピープルズ・ストーリー博物館とエディンバラ博物館。これもちょうどお向かいに建っている。 ピープルズ・ストーリー博物館。塔が目印。 ここはエディンバラ庶民の暮らしぶりの移り変わりを展示する博物館である。 入…

もう全員海で死ねばいいよ〜ドンマーウェアハウス、ジュード・ロウ主演、ユージン・オニール作『アンナ・クリスティ』

ドンマーウェアハウスでジュード・ロウ主演の『アンナ・クリスティ』を見てきた。原作はユージン・オニール作の1921年の戯曲で、グレタ・ガルボ主演の映画で有名(未見)。 …で、一言で言うと、役者はみんな頑張っているのだがとにかく戯曲がつまらなすぎる。…

カトリーヌ・ドヌーヴを家母長とするフランソワ・オゾンの夢の母権ユートピア〜『しあわせの雨傘』

フランソワ・オゾンの『しあわせの雨傘』(Potiche)を見てきた。日本では既に公開されているらしいのだが、イギリスでは先月公開されたばかり。 で、話自体はよくあるブルジョワ女性の自立コメディ。舞台は1977年、ヒロインは横暴な雨傘工場経営者ロベールの…

ウォリック大よりマスキュリニティ研究ワークショップのCFP

ウォリック大でマスキュリニティ研究のワークショップがあるそうです。 Masculinity Studies: An Interdisciplinary Workshop Tuesday 20 September 2011, University of Warwick Call for PapersThe purpose of this workshop is to bring together scholar…

ICUのミスコンに反対するひとに10の質問

一部で話題のICUミスコン問題だが(経過はこちらなどのまとめを参照)、現在、学外者でも参加できる反対署名をやってる(うちも署名した)。それに関連してこんな10の質問が出てきているので、ちょっと今日はブログネタもないし実はかなり体調不良で自分でネタを…

スラットウォークロンドン〜女性に対する暴力に反対し、性犯罪の被害者の人権擁護を訴えるデモ

スラットウォークロンドンに参加してきた。 スラットウォークはカナダで始まった性暴力に反対する活動で、Slutは売女とかいうような意味である。既にウィキの項目もできているが、トロントの大学で警察官が「女性は被害にあわないようslutのような格好はしな…

あまりにも最悪、ある意味キャンプの極致〜Beyond the Ballet of the Dolls, またの名を『ブラック・スワン』

ダーレン・アロノフスキー監督、ナタリー・ポートマン主演『ブラック・スワン』を見てきた。なんかもうほんっと最悪な映画だったのだが、あまりにもダメすぎてかえってすんごいキャンプムービーになってる気が…所謂"It's so bad that it's good"というやつで…

ランナウェイズ以前の女性ロックバンドを捜せ!

…えーっと、世界で初めてメジャーでヒットをとばした女ロックバンドはランナウェイズってことになってるんだけど、ランナウェイズ以前にも実はオールガールロックバンド(メンバーが全員女で、自分で楽器を演奏する)はいた。と、いうわけで、本日はそういうバ…

緊急避妊薬ノルレボ認可に賛成の方は是非パブリックコメントを!

緊急避妊薬ノルレボの認可にあたり、国がパブリックコメントを受け付けているそうです。ノルレボは現在日本で主流である中容量ピルを用いた緊急避妊よりも副作用が少なく安全であるそうです(中容量ピルを使用すると、人によっては副作用による吐き気で薬を吐…

面白いんだけどさぁ…そんなに家庭が好きか?〜リサ・チョロデンコ監督最新作『ザ・キッズ・アー・オールライト』(The Kids Are All Right)ネタバレあり

リサ・チョロデンコ監督の最新作で、アネット・ベニングとジュリアン・ムーアがレズビアンのカップルを演じている『ザ・キッズ・アー・オールライト』(The Kids Are All Right)を見てきた。 医者のニック(ベニング)とジュールズ(ムーア)は長年連れ添ったカッ…

日常の些細な気づきと努力(とちょっとしたオシャレ)が市民の権利を守る〜『メイド・イン・ダゲナム』(Made in Dagenham)

60年代にUKフォードのシート縫製工の女性たちが男女同一賃金を求めて起こしたストライキを描いた映画、『メイド・イン・ダゲナム』(Made in Dagenham)を見てきた。すごい面白かったんだけど、これは実話がもとになっており、ストの結果、二年後にイギリスで…

いい芝居だけど、服のチョイスでぶちこわし!トラファルガースタジオ『リタの教育』

トラファルガースタジオで『リタの教育』(Educating Rita)を見てきた。 これはウィリー・ラッセルが1980年に発表した非常に有名な戯曲で、登場人物はリタとフランク先生の二人だけ、セットはフランクの研究室のみという簡素な芝居である。イギリスの大きな街…

マリリンとエルヴィスのようなシェリーとジョーン、あるいはセックスシンボルの成功と挫折〜『ザ・ランナウェイズ』(The Runaways)

私が熱愛していて携帯電話のアドレスにも使っている伝説的なガールズロックバンド、ランナウェイズの伝記映画『ザ・ランナウェイズ』(The Runaways)を見てきた。 ランナウェイズは70年代のバンドなのだが、メンバーが全員女性で演奏も作曲も全部自分たちでや…

重要性と緊急性

ちょっとこういうTogetterまとめを作成した…のだが、結局作ったせいで余計話が紛糾したようで反省している。イスラエル・パレスチナ問題と性的少数者の人権問題に関するちょっとした資料集 まとめに書いたように、イスラエルは中東の中でも性的少数者に対す…

今まで見た中でもっともモラルのあるドラマだった〜『クィア・アズ・フォーク』アメリカ版全制覇(ネタバレあり)

『クィア・アズ・フォーク』アメリカ版をやっと全部見終わった。 (9:35あたりから必見。ただし男性の裸が頻出するのでストレート男性とレズビアン女性にはあまりおすすめしても意味ない…のかもしれない?性描写が苦手な方は注意して下さい。) …しかし、最後…

ホワイトプランの白戸家って実は結構「クィアな家族」だよね

実は私はソフトバンクの白戸家のお父さんの隠れファンなのだが(北海道犬で同郷人だしね)、ホワイトプランの新しいCMがとても面白かった。 新しいCM↓ 「実家」編 犬になっちゃったお父さんが一乗谷の母(若尾文子。相変わらず着物姿がお美しい+信じられないほ…

あまりのおもしろさにびっくり、ソーホー座『ベティ・ボーンとマーク・レイヴンヒル――三幕の人生』

ソーホー座で『ベティ・ボーンとマーク・レイヴンヒル――三幕の人生』の再演を見てきた。 これは9月の公演に行きたかったんだけど行けなくて、再演ということで初日に行ってきたのだが、とにかくすんごく面白かった。ロンドンとニューヨークに住んでいる人は…

時代考証がちょっとヘンな、女形が主役の王政復古演劇界バックステージ映画『ステージ・ビューティ』

『ステージ・ビューティ』という、日本未公開の映画をDVDで見た。 これは王政復古期、最後の女形と言われているネッド(エドワード)・キナストンを主人公にしたバックステージものである。王政復古期の演劇界を舞台にしたバックステージものというのは結構少…

ローズ座『シェイクスピアの女たち』

今日はガイ・フォークスの日だったのだが、ルイスとかまで出かけてお祭りを見る暇はなかったので、寮の人たちと女三人でローズ座の『シェイクスピアの女たち』を見てきた。 ローズ座はシェイクスピアの時代からあるロンドン屈指の古い劇場なのだが、規模は大…

『ヴァギナ・モノローグス』レビュー

六本木の俳優座で『ヴァギナ・モノローグス』を見てきた。 で、すごい面白かったんだけど、全然客入ってないのはよろしくないと思った。俳優座は結構大きい劇場なんだけど、真ん中の列前寄りしか埋まってなくて、両脇は全然誰も座ってない。というか、そもそ…

サウロンの目のデザインがあまりにもヴァギナ的すぎる『ロード・オブ・ザ・リング』三部作

えーっ、タイトルがきわめて下品であることを心よりおわびいたします(そして『ヴァギナ・モノローグズ』をどうぞよろしくお願いします)。 なんと、この年になって初めて『ロード・オブ・ザ・リング』三部作を見た。 『指輪物語』は、英文学者は読んどかない…

破壊屋さんに投票してみた

相変わらず全身ボロボロで新しいエントリを考える元気がないので、この間投票した映画ベストのことでも。 私がよくチェックしている破壊屋という映画サイトがあって、そこで2009年度上半期ベスト5投票企画をやっていたので、京都に行く前に投票しておいたら…

『非女子図鑑』

保健センターに歯科検診の予約に行ったら、今日は男子の健康診断日だったせいで保健センターの前にずらっと人が並んでいた。で、そこを抜けて中に入ったら、職員の人が「やめてください!!!」みたいな感じで私の前に立ちはだかって、「熱を測ってマスクを…

プロペラと『ヴァギナ・モノローグズ』告知

今日は英文学会だったのだが、結局昨日料理作りまくった疲れと明日の発表原稿チェックと明後日締切の書類書きでつぶれてしまったため、一日目はパスだった… で、まず、プロペラの予告がYouTubeにあがったらしい。 『夏の夜の夢』 えーっ、男性がみんなで"♪Fa…