バレエ

ドラマティックな翻案~ハンブルクバレエ『幻想・「白鳥の湖」のように』(配信)

ハンブルクバレエ『幻想・「白鳥の湖」のように』を配信で見た。ジョン・ノイマイヤーによる『白鳥の湖』の翻案である。 www.hamburgballett.de 主人公がバイエルンの王ルートヴィヒ2世で、『白鳥の湖』は劇中劇になっているという構成だ。ルートヴィヒは同…

『ロミオとジュリエット』2本立て(2)ジュリアン・レステル版『ロミオとジュリエット』

Marquee TVでジュリアン・レステル振付『ロミオとジュリエット』を見た。音楽はプロコフィエフのものを使っている。2014年に収録されたものである。 www.marquee.tv お話のほうはけっこうカットされており、ふつうのプロダクションだと残しておくような箇所…

『ロミオとジュリエット』2本立て(1)スペイン国立ダンスカンパニー『ロミオとジュリエット』(配信)

スペイン国立ダンスカンパニーの『ロミオとジュリエット』をMarquee TVの配信で見た。ナチョ・ドゥアト振付で、2008年に来日もしたことあるらしい。ただ、2013年のプロダクションを撮ったものなので、振付や演出にマイナーチェンジはあるかもしれない。 www.…

頼れる大人はメガネをかけている~チューリッヒ歌劇場『ロミオとジュリエット』(配信)

チューリッヒ歌劇場『ロミオとジュリエット』を配信で見た。クリスティアン・シュプック振付によるものである。 www.opernhaus.ch わりと暗めのステージで、奥に窓のある二階建てのお屋敷なのだが、たまにお屋敷というよりは役所みたいな冷たい感じで見える…

全然ファム・ファタルに見えない~新国立劇場『マノン』(配信)

新国立劇場巣ごもりシアターでバレエの『マノン』を見た。マスネの曲にケネス・マクミランが振付をしたものである。今年2月の公演で、実は行きたいと思っていたのだが見に行けなかった。 www.nntt.jac.go.jp 原作はアベ・プレヴォの小説である。マスネは18世…

ボトムが本当にロバっぽい~アシュトン『夏の夜の夢』(配信)

フレデリック・アシュトン版『夏の夜の夢』Marquee TVの配信で初めて見た。メンデルスゾーンの音楽を使った1時間くらいの演目である。2017年に上演されたものだ。 www.marquee.tv 夜の森の雰囲気あるセットにロマンティックな可愛らしい妖精がたくさん出てく…

『ミッドサマー』好きならこれを見よ!~スウェーデン王立バレエ『夏の夜の夢』(配信、ネタバレあり)

Mrquee TVのフリートライアルでアレクサンダー・エクマン振付、スウェーデン王立バレエ『夏の夜の夢』を見た。2017年の上演を収録したものである。タイトルはシェイクスピアで多少の影響はあると思うのだが、お話は戯曲とは全く関係なく、北欧の夏至祭りを題…

普通のロミジュリとだいぶ違う~スウェーデン王立バレエ『ジュリエットとロミオ』(配信、ネタバレあり)

Marquee TVのフリートライアルでスウェーデン王立バレエ『ジュリエットとロミオ』を見た。マツ・エクの振付で、2013年の上演を撮影したものである。 www.youtube.com タイトルからもわかるようにいわゆるふつうの『ロミオとジュリエット』のバレエと全然違い…

魅力的だが、小説を読んでいないと初心者には難しいかも~ノーザンバレエ『1984』(配信)

ノーザンバレエ『1984』の配信を見た。2016年に撮影されたものである。 www.youtube.com ジョージ・オーウェルの『1984』のバレエ化作品である。ギシギシした不穏な音楽に、記憶を象徴するような大きな棚と場面転換であらわれるテレスクリーンが対照的なセッ…

マシュー・ボーン IN CINEMA『ロミオとジュリエット』

マシュー・ボーン IN CINEMA『ロミオとジュリエット』を試写会で見てきた。 www.youtube.com 生の舞台をロンドンで見ていて、内容に関してはそんなに大きな違いは感じなかったのだが、一つ思ったのはなんかちょっと短くなっているような気がしたことだ。ただ…

ダンスはとても綺麗だが、ロミオのぴっちりタイツが問題だと思う~バレエ映画『ロミオとジュリエット』

ロイヤル・バレエによるバレエ映画『ロミオとジュリエット』を見てきた。 www.youtube.com プロコフィエフの音楽にケネス・マクミランが振り付けたロイヤル・バレエの定番作品である『ロミオとジュリエット』を映画化したものなのだが、最近流行りの舞台を撮…

プロコフィエフからロマンティックを引くと…マシュー・ボーン版『ロミオとジュリエット』(ネタバレあり)

サドラ-ズ・ウェルズ劇場でマシュー・ボーン版『ロミオとジュリエット』を見てきた。完全な新演出である。 new-adventures.net プロコフィエフの音楽を使っているが、設定は相当変わっている。近未来の全体主義的な管理教育を行う寄宿学校を舞台に、監視員…

テイト・モダン「ナタリア・ゴンチャロワ展」

テイト・モダンでナタリア・ゴンチャロワ展を見てきた。デザインから絵画まで幅広く活動したロシアの芸術家で、第一次世界大戦前後のロシア前衛芸術を主導したアーティストのひとりである。全体的に雪国っぽいセンスが感じられてすごく良かったのだが、一番…

東急シアターオーブ、マシュー・ボーン『シンデレラ』

マシュー・ボーン版『シンデレラ』を見てきた。プロコフィエフの音楽を使いつつ、設定を第二次世界大戦にして、シンデレラと王子さまをロンドン空襲で引き裂かれる男女にしたバージョンである。 www.youtube.com これは2010年の再演をイギリスで見ていて、か…

動き出す彫像〜ロイヤル・バレエ『冬物語』

TOHOシネマズ日本橋でロイヤル・バレエ『冬物語』の上映を見てきた。シェイクスピアの『冬物語』をクリストファー・ウィールドン振付、ジョビー・タルボット作曲でバレエ化した作品である。 バレエに詳しくないのであまり綿密な評価はできないのだが、セット…

フィンランド国立バレエ団『たのしいムーミン一家 〜ムーミンと魔法使いの帽子〜』

フィンランド国立バレエ団『たのしいムーミン一家 〜ムーミンと魔法使いの帽子〜』を見てきた。 前半は北欧バレエ・ガラで、『白鳥の湖』など有名な演目のハイライトを踊るものである。後半がムーミンのバレエで、着ぐるみがつま先立ちで回ったりするところ…

英国ロイヤル・オペラ・ハウスシネマシーズン『ウルフ・ワークス』

英国ロイヤル・オペラ・ハウスシネマシーズン『ウルフ・ワークス』を見てきた。ヴァージニア・ウルフの作品と生涯を三部構成でたどるバレエである。私はもともとコンテンポラリーっぽいダンスを映像で見るのが苦手で、しかも季節性のアレルギーが爆発して始…

動物の世界〜バレエ『ピーターラビットと仲間たち』

Kカンパニーのバレエ『ピーターラビットと仲間たち』を見てきた。 第2部は『ピーターラビットと仲間たち』で、ダンサーが全員精巧なぬいぐるみを着込んでビアトリクス・ポターの世界を再現する。微笑ましい展開で、着ぐるみを着込んでいるダンサーの踊りのキ…

マシュー・ボーン版『眠れる森の美女』(The Sleeping Beauty)日本公演

マシュー・ボーン版『眠れる森の美女』(The Sleeping Beauty)の日本公演を見てきた。既にロンドンでの初演を見ているので感想はそちらとそんなに変わらないのだが、ゴシックな雰囲気に独特の色気とユーモアをからめた純愛もので切ない作品だった。とにかく楽…

超セクシーな『カルメン』のバレエ版翻案〜マシュー・ボーン『ザ・カーマン』 in シネマ

マシュー・ボーンの『ザ・カーマン』の映画館上映を恵比寿ガーデンシネマで見てきた。ボーンの主な演目では唯一見たことのないものなので楽しみにしていたのだが、大変面白かった。とにかくセクシーである。 音楽はビゼーの『カルメン』を使っているのだが、…

messy連載に「男性に自由を奪われた「籠の鳥」〜チャイコフスキー『白鳥の湖』と森鴎外『雁』」を書きました

いつものmessyの連載に「男性に自由を奪われた「籠の鳥」〜チャイコフスキー『白鳥の湖』と森鴎外『雁』」を書きました。鑑賞初心者として、ゆるい感じでバレエの楽しみを書いたものです。マシュー・ボーンをオススメしています。 ちなみに今回の連載は、卒…

夢のようなシビアな世界〜『バレエボーイズ』

『バレエボーイズ』を見てきた。 オスロでバレエダンサーを目指す三人の少年、ルーカス、シーヴェルト、トルゲールの生活を追ったドキュメンタリー映画である。三人は大変仲が良く、それぞれとにかくバレエを愛し、夢を追う姿が清々しい。ということで純粋で…

ストラヴィンスキー、苦手らしい〜アダム・クーパー『兵士の物語』

東京芸術劇場で『兵士の物語』を見てきた。ストラヴィンスキー作の劇音楽で、バレエに台詞などもついた総合芸術的な作品である。主役の兵士を踊るのはアダム・クーパーだ。あらすじについては上の公式サイトの説明がわかりやすいと思うのだが、いわゆるファ…

トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団日本公演

オーチャードオールでトロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団の日本公演を初めて見た。ニューヨークのカンパニーで、全員男性でコミカルなバレエを踊ることで有名なバレエ団である。 初っ端から急に「我々は日本のスターが大好きです」というようなアナウンス…

カメラワークに改善の余地あり〜『マシュー・ボーンの白鳥の湖3D』

新しくなった恵比寿ガーデンシネマに初めて行き、『マシュー・ボーンの白鳥の湖3D』を見てきた。 既に3回くらい生の舞台で見ているので話なんかはもちろん覚えているのだが、3Dということでどうだろう…と思ったら、やはりバレエみたいな動きが激しく、奥行き…

ボリショイ・バレエ in シネマ『ロミオとジュリエット』

ボリショイ・バレエ in シネマ『ロミオとジュリエット』を見てきた。 可愛らしいが意志も強そうなジュリエット(アンナ・ニク―リナ)をはじめとして、剽軽で軽快なマキューシオや血気盛んでダークなティボルトなどそれぞれの若者の個性が強く出ていたし、最後…

The Strangerはキャプテン・ジャック〜『マシュー・ボーンの「白鳥の湖」 』

ちょっと前になるが、シアターオーブで『マシュー・ボーンの「白鳥の湖」』を見てきた。白鳥役はマルセロ・ゴメスだった。 既に日本で一回、ロンドンで一回この演目を見ているのだが、何度見ても面白い。もう20年近くやってるのにまだこんなに面白いというの…

熊川哲也を初めて見る〜Kバレエカンパニー『ロミオとジュリエット』

Kバレエカンパニーの『ロミオとジュリエット』を見た。熊川哲也のバレエを見るのは生まれて初めて。 セットは二階建てのルネサンス風の建物でちょっとグローブ座ふう。墓所の場面なんかは照明で変化をつけており、またまた衣装はそれぞれのキャラクターの性…

踊り手はハゲていてもクリシュナだ〜シルヴィ・ギエム&アクラム・カーン・カンパニー『聖なる怪物たち』

シルヴィ・ギエム&アクラム・カーン・カンパニー『聖なる怪物たち』を見てきた。セットはシンプルな後方の壁だけ、楽隊を舞台に上げ、音楽にあわせてシルヴィ・ギエムとアクラム・カーンがモノローグや会話も取り入れながら踊るという演目である。 こういう…

スカラ座『ロミオとジュリエット』〜素人には少し話がわかりにくかったかも

東京文化会館でスカラ座のバレエ『ロミオとジュリエット』を見てきた。主役はナターリヤ・オシポワとイワン・ワシリーエフ。 セットや衣装からダンスまでとにかくきちんと作り込んだ舞台で面白かったのだが、ただ前ロンドンで見た時よりもだいぶ話がわかりに…