ジェンダー

ヴェールの女子力〜後藤絵美『神のためにまとうヴェール - 現代エジプトの女性とイスラーム 』

後藤絵美『神のためにまとうヴェール - 現代エジプトの女性とイスラーム』(中央公論新社、2014)を読んだ。神のためにまとうヴェール - 現代エジプトの女性とイスラームposted with amazlet at 15.01.25後藤 絵美 中央公論新社 売り上げランキング: 510,963Am…

修論を書く前に読むべきだった〜Marilyn French, Shakespeare's Division of Experience

恥ずかしながらこの年になってはじめてMarilyn French, Shakespeare's Division of Experience (Jonathan Cape, 1982)を読んだ。Shakespeare's Division of Experienceposted with amazlet at 15.01.24Marilyn French Jonathan Cape Ltd Amazon.co.jpで詳細…

日本語版ウィキペディアに「ベクデル・テスト」の記事を立ち上げました

日本語版ウィキペディアに「ベクデル・テスト」の記事を立ち上げました。これはアリソン・ベクデルの1985年のマンガに由来するテストで、映画のジェンダーバイアスをはかる有名なテストです。以下の三項目を満たしている場合、その映画はベクデル・テストを…

21世紀にもなって、男と家庭以外に人生ないの?〜『ゴーン・ガール』(ネタバレあり)

デヴィッド・フィンチャー監督の新作『ゴーン・ガール』を見てきた。一言でまとめてしまうと、かなり積極的につまらなかった… あらすじはいたるところで書かれているしネタバレ注意作であるのであまり詳しくは説明しないが、とりあえずヒロインであるエイミ…

2014年コンテンツ文化史学会

2014年コンテンツ文化史学会のシンポジウム「コンテンツ文化史研究を世界に拓く —ヨーロッパ・アメリカ編」に参加してきた。一応、内容はツダったので下のtogetterにまとめておいた。「2014年コンテンツ文化史学会<シンポジウム>「コンテンツ文化史研究を…

女性名で執筆活動を行った男性作家をリストしてみた

アイルランドの作家、フラン・オブライエンの新訳が出るということなのだが、私、最近友人にすすめられるまでこの作家のことを全く知らず、女性だと思って検索したら(これ、なんかキレイな感じの名前なんで私の隠れた性的偏見が活動してしまってケルト美女を…

「自然観」の何とも言えないうさんくささ〜田中ひかる『生理用品の社会史−タブーから一大ビジネスへ』

田中ひかる『生理用品の社会史−タブーから一大ビジネスへ』(ミネルヴァ書房、2013)を読んだ。生理用品の社会史: タブーから一大ビジネスへposted with amazlet at 14.08.17田中 ひかる ミネルヴァ書房 売り上げランキング: 221,649Amazon.co.jpで詳細を見る …

これはおとぎ話じゃない、レイプ&リベンジアクションだ!〜『マレフィセント』(ネタバレあり)

『マレフィセント』を見てきた。一年に二度もディズニーの映画を金払って見るなんて実に癪に障るのだが、アンジーの魔女姿に抵抗できずついふらふらと… この映画は賛否両論あるようだが、まあ出来としては『アナと雪の女王』のほうがだいぶ良いと思うんだけ…

20世紀UK女子トラブル文化史〜Carol Dyhouse, Girl Trouble: Panic and Progress in the History of Young Women(『女子の問題:若い女性の歴史におけるパニックと進歩』)

Carol Dyhouse, Girl Trouble: Panic and Progress in the History of Young Women(Zed Books, 2013)[『女子の問題:若い女性の歴史におけるパニックと進歩』]を読んだ。Girl Trouble: Panic and Progress in the History of Young Womenposted with amazlet…

アメリカにおける、新しき「女大黒柱」たち〜Liza Mundy, The Richer Sex: How the New Majority of Female Breadwinners Is Transforming Sex, Love and Family

Liza Mundy, The Richer Sex: How the New Majority of Female Breadwinners Is Transforming Sex, Love and Family (New York : Simon & Schuster)[ライザ・マンディ『豊かなほうの性別:いかにして新しく増加する女性の大黒柱がセックス、愛、家族を変容さ…

表象文化論学会パネル「知/性、そこは最新のフロンティア−人工知能とジェンダーの表象」お礼&おわび

本日は表象文化論学会にてパネル「知/性、そこは最新のフロンティア−人工知能とジェンダーの表象」を組織しました。内容についてはツダりまとめがあります。表象文化論学会パネル「知/性、そこは最新のフロンティア−人工知能とジェンダーの表象」に関するツ…

面白いところもあるが、眉唾〜ハナ・ロジン『男の終わり、そして女の勃興』(The End of Men: And the Rise of Women)

ハナ・ロジン『男の終わり、そして女の勃興』(Hannah Rosin, The End of Men: And the Rise of Women, Riverhead, 2012)を読んだ。The End of Men: And the Rise of Womenposted with amazlet at 14.06.18Hanna Rosin Riverhead Hardcover 売り上げランキン…

理想宮か、公共彫刻か?〜『アナと雪の女王』(ネタバレあり)

『アナと雪の女王』を見てきた。私、ディズニーが大っきらいなので金を払って見に行きたくなかったのだが、あまりの評判の良さに敵の軍門に降ってしまった… 好き嫌いはともかくとして、見た後最初の感想は、「これは女子のスター・ウォーズになる」ってこと…

これが文理融合ですよ〜『ギークマム:21世紀のママと家族のための実験、工作、冒険アイデア』

急に寒くなったもんでちょっと風邪気味で、少し家で養生してたので、その間に楽しそうな軽い本を…と思ってナタニア・バロン他『ギークマム:21世紀のママと家族のための実験、工作、冒険アイデア』堀越英美、星野靖子訳(オライリー・ジャパン、2013)を読んだ…

労組から電車男まで〜『日本人の「男らしさ」:サムライからオタクまで 「男性性」の変遷を追う』

サビーネ・フリューシュトゥック他『日本人の「男らしさ」:サムライからオタクまで 「男性性」の変遷を追う』長野ひろ子監訳(明石書店、2013)を読んだ。日本人の「男らしさ」 -サムライからオタクまで 「男性性」の変遷を追う-posted with amazlet at 14.03…

フェミニストっぽい映画を作ろうとして失敗したロマコメ〜『ドン・ジョン』

ジョゼフ・ゴードン=レヴィットの初監督作『ドン・ジョン』を見た。オンラインポルノ中毒の現代のドン・ファンことジョン(イタリア系のカトリックの青年)が真実の愛を見つけるまでの遍歴…といえばいいのかな? …これ、明確にフェミニスト的意図を持って作ら…

『ブルージャスミン』〜もう一回『欲望という名の電車』やればいいだけじゃん

忘れないうちに、飛行機で見た映画のレビューを書いておこうと思う。まずウディ・アレンの『ブルージャスミン』で、これは行きの飛行機で見たのでアレンの性犯罪疑惑が再注目される前だったのだが、見た瞬間からなんで今時こんな映画を作る必要が…というくら…

走るときは、ひとり〜『少女は自転車にのって』(ネタバレあり)

『少女は自転車にのって』を岩波ホールで見てきた。性差別が激しいサウジアラビアで、10歳の少女ワジダが自転車(若い娘が乗るにははしたない乗り物と見なされている)を手に入れようと奮闘する、というストーリーである。なんてぇことはない小さい話で大事件…

同僚のおばちゃんをいじめることはなぜナチスに加担することと共通点があるのか〜『ハンナ・アーレント』

シネマカリテでようやく『ハンナ・アーレント』を見てきた。最初のうちは大混雑だったそうだが今はそうでもなくゆっくり楽しむことができたのだが、とにかくむちゃくちゃ良い映画である。哲学論争なんてなかなか映画化しにくい題材だと思うが、演出も演技も…

宇宙にイケメンなんかいらない、たとえジョージ・クルーニーでも〜『ゼロ・グラビティ』(猛烈にネタバレあり)

『ゼロ・グラビティ』を見てきた。宇宙でトラブルが発生し、無重力の中に放り出されて地球に帰れるか怪しくなってきた学者ストーン博士(サンドラ・ブロック)の苦闘を描く宇宙スリラー、というかほとんどホラーに近い作品である。 とりあえずひどい3D酔いが発…

吉屋信子の従軍記とその周りの議論に注目〜久米依子『「少女小説」の生成: ジェンダー・ポリティクスの世紀』(青弓社、2013)

久米依子『「少女小説」の生成: ジェンダー・ポリティクスの世紀』(青弓社、2013)を読んだ。「少女小説」の生成: ジェンダー・ポリティクスの世紀posted with amazlet at 13.12.02久米 依子 青弓社 売り上げランキング: 273,097Amazon.co.jpで詳細を見る 近…

愛より自分が大事〜『わたしはロランス』

グザヴィエ・ドラン監督、メルヴィル・プポー主演の『わたしはロランス』を見てきた。久しぶりにすごいヘヴィなフランスの恋愛映画で、ストーリーや演技はとても良かったと思うのだが、半端にヌーヴェルヴァーグ+キューブリックみたいな撮り方と音楽の使い…

ブレヒトのようなシェイクスピア〜柿喰う客、オールフィメール『女体シェイクスピア004 失禁リア王』

ずっと見に行きたいと思っていたがロンドンにいたもんで行く機会がなかった柿喰う客の女体シェイクスピアを初めて鑑賞。演目は『失禁リア王』で、これはオールフィメールでシェイクスピア作品を上演する企画の第四弾である。実は10月のシェイクスピア学会で…

ジョルジュ・サンドと女性サン・シモン主義者の男装〜『社会表象としての服飾―近代フランスにおける異性装の研究』

新實五穂『社会表象としての服飾―近代フランスにおける異性装の研究』(東信堂、2010)を読んだ。社会表象としての服飾―近代フランスにおける異性装の研究posted with amazlet at 13.08.27新實 五穂 東信堂 売り上げランキング: 885,184Amazon.co.jpで詳細を見…

史実vsコンセプトの戦い〜ヒュパティアの伝記映画『アレクサンドリア』

科学史DVD鑑賞会(ウエハラモノローグさんとオシテオサレテさんとid:sumidatomohisaさんが参加)で、レイチェル・ワイズ主演、アレハンドロ・アメナーバル監督の映画『アレクサンドリア』(2009)を見た。4世紀頃のアレクサンドリアでキリスト教徒に惨殺された実…

ビジネス本はどのくらいフェミニズム本でありうるか?〜シェリル・サンドバーグ、Lean In: Women, Work, and the Will to Lead(『Lean In: 女性、仕事、リーダーへの意欲 』)

フェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグのベストセラー、Lean In: Women, Work, and the Will to Lead(2013)を読んだ。ちょうど和訳も出たのだが、英語版を借りてたのでそちらで読んだ。 普段全くビジネス本は読まないのだが、これはとても面白かった。…

村の緑を守る会訪問記〜『社会運動の戸惑い』

山口智美、斉藤正美、荻上チキ『社会運動の戸惑い: フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動』(勁草書房、2012)を読んだ。 一言で言うとこの本はフェミニストの研究者による「村の緑を守る会訪問記」である。問題意識としては、フェミニズム的な動き…

小宮友根『実践の中のジェンダー−法システムの社会学的記述』〜非専門家にはかなりむずかしい

小宮友根『実践の中のジェンダー−法システムの社会学的記述』(新曜社、2011)を読んだ。 一言でいうと、非専門家で社会学とか全く勉強したことない者にはかなりとっつきにくい本であるという印象を受けた。以前紹介した森山さんの『ゲイ・コミュニティの社会…

上野千鶴子『近代家族の成立と終焉』

上野千鶴子『近代家族の成立と終焉』(岩波書店、1994)を読んだ。 10年以上前の本なので情報が古くなっているところもあり、とくにたぶんヨーロッパ中世の家族や女性史研究とかはこのあとにけっこう発展したと思うのし、あと経済状況が変わって格差の研究も進…

「オタクな女子のためのサバイバル英会話」ボットを始めました

本日より、「オタクな女子のためのサバイバル英会話」ボット @FangirlsEnglish を始めました。 https://twitter.com/FangirlsEnglish/status/308017288840355840:twitter これはクィア英会話アカウントが最近休んでいてつまらないのと、田舎で中学生に英語を…